事故(ミス)が起きる状況の分析資料

私が消防大学校で研修したときの資料から抜粋しました。

消防その他の現場での活動時において事故その他を起こしたときの要因を具体的に分析するときの例です。

現場活動はバスケでは試合ですね。事故はミスということになります。

やってきたことがうまくいかない要因はどこにあるか分析するときの具体例になると思い活用しています。

言葉は消防の資料をそのまま書いてあるので体育館でバスケをやっているときにはまったく関係ないところも

ありますがそれぞれバスケのことに解釈してご覧下さい。

 

1 不安全状態

  事故原因の根本的要因といえるが、是正することにより解消が期待できる。

 

@  物的要因

区  分

要   因

危      険      性

施設・設備

装備・資機材

被服等

状態及び機能の不良

構造の不備・欠陥等

資機材等の必要数の

欠如

・ 設計不良、材料の不良等による強度不足。

            老化、腐食、損壊、焼失等による強度低下及び機能低下等。

・ 必要な機材等が必要数準備できない。

 

 A 環境的要因

区  分

要   因

危      険      性

自然環境

気象等の不良

・ 雨、雪、霧、風、暑い、寒い、暗い、等による滑り視界の妨げ、士気の低下等。

活動環境

地盤・形状の不良

・ 狭あい、勾配、凸凹、段差、凍結、不整地等による足下及び機材の不安定。

整理整頓の不良

        不用品の放置、乱雑、散乱等による足元の不安定。

        活動空地の障害物による身体各部の接触危険。

不快な状態有毒物

        湿気、ほこり、臭気、煙、有毒ガス及び蚊などの有害虫による注意力、集中力、の散漫並びに士気の低下。

整備の不良

        騒音、照明及び換気の不備による五感の低下等。

        危険表示等の不備による身体への直接危険。

 

2 不安全行動

 安全な状態を不安全な状態に置き換える行為又は直接事故発生につながるおそれのある行動。

区   分

要    因

危      険      性

知らない

安全に対する理解と認識が不足

        安全は、指揮者の責任と思っている。

        事故は他人事であり自分は大丈夫だと思っている。

        事故のマイナス効果(対自身、対組織、対世間)

 の認識がない。

        経験していないから何をしてよいか分からない。

安全に対する知識が不足

        人間の弱点と、これをカバーする方法を知らない。

 (注意力・集中力が散漫、肉体的苦情や喜怒哀楽等による不注意)

        装備、資機材の性能を知らない。また、その弱点とこれをカバーする方法を知らない。

        教わったが忘れた。安全確保要領を理解していない。

        状況把握しても、危険性や災害の推移に対応できない。

        無資格者にやらせた。

危険に対する感受性が不足

        不安全行動を行っても又は不安全行動を目にしても不安全と気づかない。

やれない

能力が不十分

        教育指導が不足している。

        知識・経験ともに乏しく、判断力が不十分である。

        現場活動が高度の技能を必要とし難しすぎてやれない。

        作業量が過大である。

能力はあるがフルに発揮できない

        身体的条件が適応状態ではない。

        喜怒哀楽等の精神状態が不安定である。

        活動環境や組織活動が不良である。

        活動内容に見合った装備が不十分である。

        人員不足等から現場でやることが多すぎて実効できない。

        活動目的・手段が不明確又は不徹底である。

        装備機材が不調である。

やらない

知識や能力があってもやらない

        状況把握の誤り(認識と事実のずれ)がある。

        希望的観測、楽観的憶測的な判断に陥りやすい。

        怠惰、忘却、故意及び照れなどの性格行動特性がある。

規律が弛緩している

        士気及び志気が低下している。

        指揮者の志気能力が低下している。

        指示、命令への軽視がある。

        性格が軽率的なため安全行為をやらない。

教育指導が低調になっているためにやらない

        指導者の安全に対する理解と認識が不足している。

        指揮者の知識、経験、技術等が不足している。

        指揮者の危険に対する感受性が低いために安全指示に具体性を欠いている。

        被指導者の意識が低い。

 


3 判断を誤らせる心理的背後要因とエラーの分類

        どうして判断を誤るか

@        あせり

A        おごり

B        つかれ

C        メンツ

D        忠実性

        エラーの分類

@        懸命ミス

A        確信ミス

B        焦燥ミス

C        放心ミス

D        多忙ミス

E        無知ミス

        条件反応

@        緊張と弛緩

A        近道反応、省略行為

B        憶測判断

C        焦燥反応

        初心者にみられる人的要因

@        知識情報の取捨選択がうまくいかない

A        知覚情報過剰になり混乱してしまう

B        知覚情報の統合化、時系列的処理ができない

C        知覚感度が低い

D        短期記憶を使用する余裕がない

E        記憶量が少なく、不確実である

F        記憶が円滑に引き出せない

G        決心がつかず迷う

H        予測の幅が狭い

I        最も重要なことに焦点がしぼれない

J        最悪の状態になってから気づく

K        操作が遅れ、円滑さを欠き、ますます忙しい状態となる

L        外部からの割り込みで全体の手順が乱れる

M        いつも余裕がなく、精神的緊張状態にすぐ陥る

        熟練者にみられる人的要因

 @ 同じ仕事をしている      型にはまりすぎる

A 長年月繰り返し実施している  慣れすぎている

B 仕事の内容をよく知っている  憶測が多く、真剣に考えない

C 苦労せずに実施できる     気軽に不注意操作をする

D 円滑に実施できる       割り込みに弱い

E 巧みに実施できる       自惚れが生ずる

F 誤りが少ない         誤っても気づかない

G 速い速度で実施できる     操作の抜けやとびが生ずる

H 余裕がある          遊びが多く、不必要なことをする

I 不必要なことはやらない    気配りが悪くなる

J 長時間実施できる       意識水準が低くなる

K 身体が覚えている       うまく教えられない

L その仕事に興味がある     他のことに興味をもたず狭視野となる

○ 肉体的条件

@ 疲労

A 苦痛

B 病気

C 二日酔い

D 寒い

E 暑い

F その他

        人間の生理的条件

@        視野

一点に集中すると周囲が見えなくなる

A        錯覚

・ 目の錯覚によるミス

・ 聴覚的錯覚によるミス

  類似言語の混同、数字の聞き誤り、肯定と否定の混同、対象語の交代(左右、上下)

  聞き逃し、主語と述語の混同、順序の脱落逆転、現実にない言葉の挿入、忘却記憶の混同


 

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