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総務庁石川行政監察事務所行政相談委員機関誌『兼六』第63号(1998.9)に載せたものです。

布教の原動カ

内灘町 藤島学陵

学校・孤児院の建設や、国家にまさる救助・慈善活動、宣教師の派遣ができる。目本の宗教団体にはない力が、西洋にはある。その背景には、仏教の御布施とはかげ離れた集金システムがある。インターネットで見てみると「土地は主のものである。」教会税は土地を使用させてもらったお返しに、持ち主である神に対して当然支払うべき代価だという考え。

ドイツ福音教会の教会税。1995年には約6540億円。ドイツの主流ブロテスタント各派とローマ・カトリック教会は、毎年教会税として約6000億円を受け取る。教会税は、教会員の所得税を基礎に算出された額を、州当局が徴収する。1990年の東西ドイツ統一以来、不景気と増税とが、納税を嫌う人々をたくさん教会から離れさせた。西ドイツの人口の80.3%が教会に属すのに対し、共産主義だった東ドイツではわずかに28.9%しかいないことが判明。この状況下で、教会税を現状のまま維持すべきか間題になりだした。しかし教会税があってこそ教会の独立がある。州当局によって信者から自動的に集められるので、個人や信者グループが献金拒否をすることはできない。教会が社会にとって意義のある存在だということが教会税を正当化する、と言われる。

税金の一部として教会税が徴収され、学校で宗教の時間があるドイツ。他に北欧諸国、スイス、オーストリアなどにも教会税がある。所得の3〜9%にあたる。教会に属している以上、必ず税金として納める。税務署はこの税金を、所管地区の新旧両教会員数に比例して、各教会に分配。この制度は古く、フランスではナポレオンが止めさせたが、ドイツではヒトラーも中止できなかった。だから、ドイツの教会は並外れて強い経済的基盤をもった組織である。

勤労者は給料から所得税、健康保険料約13%、失業保険5%、老齢年金、介護保険7%、東ドイツ援助税7%、教会税8〜9%、などが引かれる。所得税は1〜5クラスある。税が重く、全部で45〜55%位の税金がかかる。手取りは額面の約半分。消費税は15%で、内税方式。デンマークでは、教会の信者は1%の教会税。各個人から、その収入の約1割を教会税として強制的に徴収。とにかくすごいシステムだと驚いている。

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