加賀・能登あいさの方言辞典

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【ア】

 

 

アアン? [感]ああん?[ことばやその内容がよく理解できなくて、問い返す時のことば]/アアン ナンヤテ?(ああん、なんだって?)。

アイサ 間。あいだ。中間。アワサとも。/カエッタラ スンニ ドッカ アスンニ イッテ シモテワー アイサニ チョッコシ テッタイ グライ シタラ ドーヤイネ(帰ったら直ぐにどこかへ遊びに行ってしまって、合間に少し手伝いでもしたらどうだね)。タタミノ アイサニ ゴッミャ ツマットル(畳の間にゴミがつまっている)。

アイソナシ [慣]@愛想の無い人。愛想の無いこと。A待遇の不十分なこと。A/アイソナシ ヤッタネ スンマセン(もてなしが不十分ですみませんでした)。

アイソラシ [形]@愛想のある。Aたくさんある。なかなか減らぬ。

アイソンナイ [形動]愛想のない。ものたりない。なんとなく寂しい。アイソモナイ、アイソムナイとも。/アイソンナイ ヒトヤ(愛想のない人だ)。ホンナ アイソンナイ コト イワントイテ(そのような寂しくなるようなこと言わないで下さい)。オッカサンモ ノーナレテ アイソンナイ コッチャネ(お母さんも亡くなられて、寂しくなることですね)。

アイタタ 怪我。痛いこと。イタイイタイとも。<幼>/ホンナ モンニ サワッテー アイタタヤゾ(そんなものにさわると痛い目にあうよ)。

アイー ツキー [感]ああしまった。失敗した時などの感嘆詞。アー ツッキ や単に ツキー や ツッキ とも。

アイノカゼ 東北の風。漁師ことば。季節をとわずにそう言う。

アオトー 青唐辛子。

アオノク [五]仰向く。/アオノキ テンバカイテ ヒックリカエッタ(仰向けにひっくり返った)。

アカガネ 銅。<共>※「赤金」。

アカシャ 針槐(はりえんじゅ)。にせアカシア。マメ科の落葉高木で内灘では防風林・防砂林として古くから植えられ、また新しくは並木としても用いられている。※「アカシア」の転化。

アカダ 沙蚕(ごかい)。釣りの餌。

アガット 上がった所。[関連]マガット(曲がり角)。/ゲンカンノ アガットニ オイテ キタゾ(玄関を上がった所に置いて来たぞ)。

アカ ネジラガレイ (魚名)あかしたびらめい。

アカブナ (魚名)きんぶな。鮒の一種。

アカママ 赤飯。

アカメコ (魚名)ぼらの一種。サンサイ、シロメコとも。

アキショヤ [形動]飽きっぽい。すぐに飽きる。堪え性のない。我慢強くない。続かない。/マタ シゴト カエタンカ アキショナ ヒトヤナ(また仕事をかえたのか、飽きっぽい人だな)。

アグチ あぐら。アゴチとも。[関連]オンナニマリ(正座)、ミロニマリ(正座)、ヨコニマリ(膝をくずして足を横に出して座る座り方)。/アグチカク(あぐらをかく)。ヨコニマリ のことを ミロニマリ という者もいる。

アゲクニ [副]終いには。果てには。結局は。/ホンナニ ハタライテ アゲクニ ヤマイニ ナッゾイヤ(そのように働いては、しまいには病気になるよ)。

アコ [代]あそこ。

アゴタ 顎(あご)。/スルメ カンドッタラ アゴタ ダヤーナッタ(スルメを噛んでいたら顎がだるくなった)。

アコナル [連]赤くなる。/ワシ サケ ノンダラ スンニ カオ アコナルガンヤ(俺は酒を飲んだらすぐに顔が赤くなるのだよ)。

アコノチ あそこの家。※「あこのうち」の転。

ア サッテ [感]ああ、さてと。[次の行動に移る際に、自問したり人を誘うような気持ちを表わす]/ア サッテ ソロソロ カエッカ(ああ、さてと、そろそろ帰ろうか)。

アシタ 明日。/アシタノ ヨーサリ チョッコ オマントコ アソンニ イクワ(明晩、ちょっと、お前のところへ遊びに行くよ)。

アシタ 足駄。下駄。<古>

アジチ 分家。[関連]オモヤ。

アシナイ [形]忙しい。多忙だ。せわしい。アセナイとも。

アジナイ [形]味がしない。味覚が無い。/カゼ ヒートッサカイカ クッチャ アジナテ ナーンモ マーナイ(風邪をひいているせいか、口が味覚が無いので、何も美味しくない)。

アシメル [一]当てにする。/オマン アシメニ シトッゾ(君を当てにしているよ)。ヒトバッカ アシメトラント ジブンデ ヤッタラ ドーヤイネ(他人ばかり当てにしていないで、自分でしたらどうですか)。

アスブ [五]遊ぶ。/マタ カエッタラ スンニ アスンニ イクー チョッコ ベンキョデモ シタラ ドーヤイネ(また帰ると直ぐに遊びに行く。少し勉強でもしたらどうですか)。

アゼカエス [五]混ぜあわせる。マゼコチャニスルとも。

アセクラシ [形]忙しい。多忙だ。せわしい。アシクラシとも。/アア アセクラッシャ(ああ忙しい)。

アセクル [五]多忙にして過ごす。アシクルとも。[関連]アセクラシ。/アセクッテ バッカデ ナンモ ダチャカン ワイネ(忙しくしているばかりで、何にも得るものがなくて、駄目ですよ)。

アセナイ [形]忙しい。多忙だ。せわしい。アシナイとも。

アセナースル [サ変]忙しく過ごす。アシナースルとも。

アタクソ はらいせ。報復。仕返し。仇。アタクとも。

アダケル [一]ふざけて遊び騒ぐ。

アタル [五]もらう。いただく。/ゲッキュー アタッタ(月給をもらった)。マダ オコズカイ アタランガン?(まだ、お小遣いをもらわないのかい)。

アチイ [形]暑い。熱い。[関連]暑がりな人のことを アツガリ または ヌクガリとも。ヌクイ[形]はどちらかと言えば「暖かい」の意。/キャ モノスン アッチイ ヒヤネ(今日はものすごく暑い日ですね)。

アチチ @熱いこと。A火。熱いもの。<幼>/オツユ アチチヤシ フーフー ショネ(御汁が熱いから、息をふうふう吹きかけて冷ましましょうね)。

アッカンベ 嫌だという意志表示。<幼>[指で片方の眼の下瞼を押し下げて、舌を長く出して、嫌だという意志表示をするしぐさのこと]/ヤーワイネ ホンナ コト アッカンベーヤ(だめだよ、そんなこと、嫌だよ)。

アックリスル [サ変]飽きる。もういやだ。飽きてきた。アックットスルとも。

アッケー [形]赤い。アッカイとも。

アッケラカント シトル [慣]なにも責任を感じないでのほほんとしている。/アンナ コト イートイテ アッケラカント シトルワ(あんなことを言っておいて、何も責任を感じないでいるよ)。

アツシル [サ変]温める。熱くする。/ミソシル アツシテ(味噌汁を温めて下さい)。アツシントイテ(温めないでおいて)。アツシットキャ ヤケト シンヨニ キー ツケニャ(熱くする時は、やけどをしないように気をつけなくては)。ハヨ アツシーマン(早く熱くしろよ)。

アッタケー [形]暖かい。

アッタケ [副]全て。全部。※「あるだけ」。アッタキとも。/ナンデモ アッタケ モッテコイ(何でも全部もってこい)。アッタケ タベテ モタ(全部食べてしまった)。

アッタラモン もったいないこと。※「あたらもの(惜物)」の転。

アッチ [代]@あちら。彼方。A先方。彼。彼等。[関連]アッチャ(彼方は:先方は)。コッチャ(当方は)。

アッチアワンサキ 金沢市粟ヶ崎町のこと。ハシアワンサキとも。

アッチビタ [代]あちら。遠くの方。[関連]コッチビタ(こちら)。

アッチャコッチャ 正反対。あべこべ。/ボク クツ アッチャコッチャヤ(坊や、靴があべこべだよ)。

アッチャ ムク [五]そっぽ向く。

アッツイ [形]暑い。厚い。熱い。/アッツイ フロ ヤッター(熱い風呂だった)。「暑い、厚い、熱い」のうち、どの意味で用いても同一のアクセントで発声し、区別はない。

アッノチ あそこの家。※「あこのうち」の転。

アッラ [感]わあ。アッルアとも。[主に男性用語]※「あら」。/アッラ イッテー(わあ、痛い)。

アッライヤ [連]あるんだぞ。アルワイヤとも。

アテガイナ [形動]いいかげんな。しっかりしていない。信用できない。/オマンモ アテガイナ ヤッチャナー(君もいいかげんなやつだなあ)。

アテコスリ 嫌味。皮肉。いやがらせの言葉や行為。アテツケとも。[関連]アテコスル[五](いやがらせを言う)。/アテコスリ ユー。アテコスリ スル。

アナイニ [副]あんなに。/アナイニ ネトッテカラ マダ ネッタイガンカ(あんなに寝ていたのに、まだ眠いのか)。

アネサ 嫁。主婦。アネサマ、アネサンとも。[関連]アネサン カブリ(家の掃除などの仕事をする時に、女性がすっぽり頭にかぶって後頭部で手ぬぐいの両端を結ぶ手ぬぐいのかぶり方)。

アノー アリヤ [感]あのう、あれです。アノー アリヤトコ(老)、アノー アリヤチャとも。[言葉がつかえたりする時、つなぎ・呼びかけとして非常によく用いられる]/アノー アリヤ ホリャ アコノチ デンワ シトッテ モラエンカ(あのー、あれだ、ほら、あそこの家に電話をかけておいてもらえないかな)。

アノーオ イーテヤッカ [慣]あのねえ。アノーオ イーチャッカとも。[子供の非常によく用いる言葉][話し始める時の相手への呼びかけとして用いる]「あのー、言ってあげようか」の意で相手の承諾を得ようとしているのではなく、単なる呼びかけの「あのね」の意。

アビル [一]泳ぐ。アベルとも。※「浴びる」の転。/アビニ イク(泳ぎにゆく)。

アブチ 仲間。友人。大根布のことば。

アブラムシ ごきぶり。

アマ 二階にある、薪など用の物置。/ホノ タキモンナ アマニ アゲトケヤ(その薪は二階の物置にあげておけよ)。

アマイコトナイ [形]大変だ。苦労だ。

アマケ 雨模様。※「雨気」/アマケガ シトル(雨が降りそうだ)。

アマサギ (魚名)わかさぎ。公魚。

アマラカス [五]余す。アマラスとも。

アミダサン @南無阿弥陀仏。A阿弥陀仏。アンダサンとも。※「阿弥陀様」。@浄土真宗の御本尊。「南無阿弥陀仏」という九字の掛け軸、または阿弥陀仏の絵姿の掛け軸か、あるいは阿弥陀仏の木像のうちのどれかを御本尊とする。A阿弥陀仏または阿弥陀如来という。「量り知れない寿(いのち)」、「量り知れない光」の意味。西方(さいほう)浄土に住み、すべての人間を救おうという誓いをたてた仏様。

アメ ネブラス [慣]賄賂を使う。怒っている者をだまして宥める。喜ばせて油断をさせる。/アメ ネブラサレテ ホンデ ダマットランカ(だまされ、なだめられて、それで、黙っているのか)。

アメリカ 蛾の一種。アメリカシロヒトリ。ヒトリガ科のアメリカ白火取の特に幼虫のことを指して言う。樹木の害虫。/アカシャト サクランキニ ヨー アメリカガ タッテ ドモ ナランガヤ ワイネ ショードク ナンベン シッコッチャ ヒドーナルワ。(にせアカシアと桜の木によくアメリカシロヒトリの幼虫がたくさん発生して、どうしようもないのですよ。消毒も何回することでしょうか。疲れてしまいますよ。)

アヤマチ 怪我。過失。/ホンナ コト シテ アヤマチデモ シタラ ドースライネ(そんなことして、怪我でもしたら、どうするのですか)。

アラチ [代]彼。彼ら。あの人。あの人達。アッチ、アッチャ、アラッチャとも。

アワサ 間。隙間。アイサとも。/トノ アワサカラ ソーット ノゾイトッタンヤロ(戸の隙間からそうっと覗いていたのだろう)。

アワンサキ 内灘町向粟崎。※「青崎」。

アン 仏前にお参りすること。ナンナとも。<幼><仏>/ナンナー アン ショネ(なんまんだーとお参りしようね)。

アンカ 長男。アンサ、アンサマ、アンカマとも。

アンダケ [副]あれだけ。あれほど。

アンチャン 長男。兄。青年。オアンサンとも。

アンナイ [形]危ない。危険な。/ミチバタデ アスンダラ アンナイ ガンヤゾー(路上で遊ぶと危ないぞ)。ホンナ トコ アシ カケタラ アンナイゾ(そのような所に足をかけたら危ないぞ)。

アンナリ あのまま。/アン ダラ ドコ イッタンカ アンナリ マダ カエッテ コンガイネ(あの馬鹿が、どこへ行ったのか、まだ帰って来ないのですよ)。

アンポンタン 馬鹿。ダラとも。※「安本丹」(薬の名前で、反魂丹になぞらえたもの)。ダラよりも語調が柔らか。

アンマリヤ [形動]あまりな。残酷な。ひどい。むごい。非情な。

アンマリシタコト むごいこと。ひどいこと。無情なこと。

アンヤト [感]有り難う(お礼の言葉)。

 

 

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【イ】

 

 

イカキヤ 鋳掛け屋。やかんや鍋・釜の破損部分に詰物などをして修理する人。昭和30年代頃まで、年に何回か定期的に巡回して来た。

イーカゲンナ [連][形動]@ほどよい。Aほどほど。B信用できない。@[ほどよい程度]/アンヤト チョード イーカゲンノ フロ ヤッタワイネ(有り難う、丁度程好い湯加減のお風呂でした)A[ほどほど]/チョット アンタ ノンガモ イーカゲンニ シトクマッシヤ(ちょっとあんた飲むのもほどほどにしておきなさいよ)。B[信用できない]/アリャー イーカゲンナ ヤッチャナー(あれは信用できない奴だなあ)。

イカズゴケ お嫁に行かない独身の女性。大根布では「アバ」。

イーカッコシー 見栄っ張り。見栄を張る者。

イカナテテ [慣]どういたしまして。[挨拶]。

イーガニ [副]良く。正しく。チャントとも。/イーガニ スワロ(正しく座りなさい )。イーガニ シテヤ(うまくしてくれよ)。イーガニ イートクワ(うまく言っておくよ)。

イガム [五]歪む。

イカレル [一]駄目になる。役に立たなくなる。壊れる。/コノ オモチャ イカレタ(このおもちゃが壊れた)。イカレタ ヤッチャ(ものの役に立たない馬鹿な奴だ)。ノミスギット カラダ イカレルゾイネ(飲みすぎると体が駄目になりますよ)。[「イカレタ」は物や人間に対してのみ用い、動物に対しては用いない]

イキアタル [五]時間が差し迫る。切羽詰る。イッキャタルとも。/ナンデモ イッキャタラント シンガイネ(何事も切羽詰らないとしないのだね)。イツンカモ イキアタッテワー アワテトル(いつも切羽詰ってはあわてている)。

イキドーシー [形]胸苦しい。

イーキナ [形動]平気な。無頓着な。無責任な。/ゼンブ ヒトニ マカシトイテ イーキナ モンヤ(全部人にまかしておいて無責任なものだ)。

イクシトル [五]狂っている。頭がおかしくなっている。イカレトル[五]とも。[関連]クルクルパー、パー。/チョッコ アタマ イクシトランデ ナイカイヤ(少し頭がおかしくなっているのではないかね)。

イクス [五]くれる。/イクサッシャイ(よこしなさい)<老>。ハヨ イクシマン(早くよこせよ)<壮>。トーチャンナ コーテ イクシタンカ(お父さんが買ってくれたのか)<壮>。

イークライヤ [形動]結構だ。良い。良い状況である。/コトシャ マダ シロナラン サカイニ イークライヤ(今年はまだ雪が降って白くならないから良いですね)[挨拶語][若年層は用いない]。イークライナネー ハヤ ナオッタンカイネ(良いことですね、早くも良くなられたんですか)。キャ マイガニ ハレテ イークライヤ(今日はうまく晴れて結構なことだ)。ホーカ ビョーキ ナオッタンカ イークライヤ(そうか、病気が直ったのか、結構なことだ)。イークライナ ニー ウマレタン オトコ ヤッタンヤテニ(よろしかったですねえ、産まれたのが男の子だったそうですね)。

イゴフク [五]嫌味を言う。人の困ることを言う。

イササ (魚名)はぜ科の素魚(しろうお)。イサザとも。体長約5cm。細長く透明な魚体。生きたままおどり食いにする。

イサドイ [形]@立派な。A思い上がった。自慢らしい。@/イサドイ ヒトヤ(立派な人だ)[賞賛]。A/アンマシ イサドイコト イワントケヤ(あまり思い上がったことを言うなよ)[脅し・警告]。

イサドクラシ [形]ご立派な。[皮肉・非難]/イサドクラシ オマンニ ホンナ コト デキル ワッキャ ナイヤロ(ご立派なことを言う、お前にそんなことができるわけがないだろ)[皮肉]。

イサブル [五]揺する。

イサル [五]威張る。偉ぶる。/イサットンナヨ(威張っているなよ)。イサッテ アルイトル(威張って歩いている)。

イジクラシ [形]うるさい。イジルカシ、イジッカシ、コジッカシとも。/イジクラシ ヤッチャナー(うるさい奴だなあ)。イジッカッシャ(うるさいな)。

イジクル [五]いらう。いじる。

イシナ 石ころ。小石。※「いしなご」の下略形。

イソガシ [形]@せわしい。うるさい。A多忙な。/アリー イソガシ ヒトヤニ アッチ イッタリ コッチ イッタリ チョッコ チント シトンマッシマン(あれーせわしい人ですね。あっちへ行ったりこっちへ行ったり。少しじっとしていなさいよ)。

イタイイタイ 痛いこと。怪我。<幼>/子供の痛がっている所に手を当てて、イタイイタイ トンデケー ホラ トンデッタヤロ(痛いのが飛んでいけー、ほら飛んで行っただろ)。

イータイコトイー 何でも無遠慮にいう人。

イタメル [一]痛めつける。ちょうちゃくする。乱暴をはたらく。イタミルとも。

イチガイナ [形動]頑固な。意見を曲げぬ。

イチコロ @一回でけりがつくこと。即座に結果がでること。A負けること。負かすこと。@/アノコ アンマシ ウッツシ カッタンデ イチコロニ ナッテシモタ(あの娘があまりにも美しかったので、いっぺんでとりこになってしまった)。

イーツキー [感]@あーあ、やだなあ。Aあーあ、本当かな?

イッキョ [慣]@行くぞ。A行こう。/オイ ワシモ イッキョ サキ イクナマ(おい俺も行くぞ、先に行かないでくれよ)。サ− イッキョ イッキョ(さあ行こう行こう)。

イッコ 麦粉菓子。独特の香ばしい風味がある。※「煎り粉」/イッコデモ カイテ タベッカナ(麦粉菓子に湯を入れてかき混ぜて食べようかな)。

イッサイ ガッサイ すべて。全部。

イッショクタ ごちゃ混ぜ。/オマント イッショクタニ シンナイヤ(お前と同じだと思うなよ)。

イッスグ [五]濯ぐ。

イッチョマイ 一人前。/ゴタバッカ ムクガン マーテ マダ ナンモ デキンガイネ マダマダ イッチョマイデ ナイワイネ(口で理屈を言うのばかり上手で、まだ何もできないのですよ。まだまだ一人前でないですよ。)

イッチョラ 一張羅。只一枚のみの大事な着物。/キャ インジャノ ヨメドリヤシ アノ イッチョラ キンナン(今日は親戚の結婚式だから、あのだいじな晴れ着を着なければいけない)。

イットマッコニ [副]一度に。いっぺんに。/マゴドマー トマンニキテ ボント ショーガッツァ イットマッコニ キタミタイナ モンヤワイネ(孫たちが泊まりに来て盆と正月が、一度に来たみたいなものですよ)。

イッピキ ひとつ。ちょっと。一度。/アタマ イッピキ カッテクルネ(ちょっと散髪して来るね)。カキモチ イッピキ タベマッシ(おかきを一枚食べなさいよ)。イッピキ ションベンデモ シテクッカ(ちょっと小便でもして来ようか)。アンヒター ワシヨリ イッピキ ウエヤワイヤ(あの人は私よりも年齢が一つ上なのですよ)。

イッペン [副]一度。一回。ちょっと。イッペ[副]とも。/イッペ ウチニモ キテ クタンシマ(一度、我が家にも来て下さいよ)<老>。

イッペンモ ナイ [慣]すっかり駄目だ。<老>/コンナ ジブンニ ナッテ ユキャ デカイコト フッテカラニ ナーモ ハヤ イッペンモ ナイワ(このような時期になって、雪がたくさん降ったものだから、いやはや、すっかり駄目だよ)。

イツンカモ [副]しょっちゅう。いつもいつも。イッツンカモ、イーツンカモ、イツンカ、イツモカモ、イツモカンモ[副]とも。/イーツンカモ イッツンカモ オンナシ コトバッカ(いつもいつも同じことばかり)。

イテ [形]痛い。イテー、イッテー[形]とも。

イトシ [形]可哀相な。

イトッシャ [形動]可哀相だ。/イトッシャノー ナカナカ ナオランカイネ(可哀相にねー、なかなか治りませんか)。

イナオレ イナオレ [感]「おさまれおさまれ」の意。地震が起きた時にとなえる言葉。[関連]ジシンガ イク(地震が起きる)。

イナダ 鰤を乾燥させたもの。[料理]元の贈り物として、よく用いる。

イノカス [五]動かす。/ツクエ イノカスナイヤ ジー カケンヤロ(机を動かすなよ、字が書けないだろ)。

イノク [五]動く。イゴク[五]とも。[関連]イノカス[五]。/クルマノ エンジン カケナオシタラ チャント マイコト イノイタワイネ(車のエンジンをあらためてかけたら、しっかりうまく動きましたよ)。チューシャ シットキャ イノカント チント シトロゾ(注射をする時は動かないでじっとしていなさいよ)。

イビ 指。<老>

イブル [五]揺する。イブラス[五]とも。

イブレル [一]揺れる。/コナイダノ ジシンデ ダイブ イブレタナー(この前の地震で、だいぶ揺れたねー)。

イマダ [副]今では。現在では。/イマダ ホント イータラ キトランナン ホントヤ(今頃は、もう来ていなければならないのが本当だ)。

イモノコ 里芋。

イヤデモオーデモ [連][副]嫌も応もなく。必ず。絶対。何が何でも。/イヤデモオーデモ イカンナラン(何が何でも行かなければならない)。

イラッシ [連]来て下さい。

イランコト [連]余計なこと。※「要らぬ事」。/イランコト バッカ スンナ(余計なことばかりするな)。

イリイリ [副]いらいらと。/アンマシ イリイリ シトット カラダニ ワルイゾイネ(あまりいらいらとしていると健康に良くないですよ)。

イロ [五]触って、いたずらする。※「いらう」。イロワン、イロタ、イロ、イロトキ、イロタラ、イロエのようにワ行五段活用の変則的活用。/ダッリャ コレ イロタン(誰だ、これに触ったのは)。

イン 犬。インココ<幼>、インコロ<蔑>とも。/トナンノ インナ イッツモ イマジブンニ ナットサー ホエダス(隣の犬はいつも今頃になると吠え始める)。

インギラット [副]ゆったりと。「いんぎり」という村もある(河北郡)。

インコロシ 野犬を捕獲する人。

インジャ 親類。縁者。

インナ [代]皆。全部。全て。ナとも。[大根布地域で多用]。/インナシテ イッカ(皆で行こうか)。インナ シテカラ(全部してから)。ナ シテ(皆で)。

インナカ 囲炉裏。<古>

インピツ 鉛筆。

 

 

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【ウ】

 

 

ウイノコ 結婚後、最初に産まれた子供。

ウェ [助]〜のだよ。<女><幼>[ちょっと誇らしげに自慢して、良いだろ、うらやましいだろという気持ちを含む]。/ドーブツエン イクウェ(動物園へ行くのだよ)。コーテ モロウェ(買ってもらうのだよ)。アノ コト アスンウェ(あの子と遊ぶのだよ)。ホンナ コト シタコト ナイウェ(そんなことしたことがないよ)。アシタ エンソクヤウェ(明日は遠足だよ)。ホンナン ミタコト アルウェ(そのようなものは見たことがあるよ)。アカ ヤウェー(赤ですよ)。ワー イットーショー ヤウェー(わあ一等賞だぞ)。

ウエッツラ 上面。ウワッツラとも。

ウゴイ (魚名)うぐい。石斑魚。[関連]サクラ ウゴイ(春から初夏までの時期の、腹に赤みをおびたうぐい)。

ウシロダンニ [副]後方へ。後ずさりして。アトジサリシテとも。/ウシロダンニ サガル(後ずさりして退く)。

ウソモカクシモセン [慣]正直にいうこと。正真正銘、嘘偽りがなく隠しごとのないこと。

ウチワヨトギ 自宅通夜。仮通夜。

ウッツシ [形]美しい。/アコノチノ ヨメサン ウッツシ ヒトヤネ(あそこの家のお嫁さんは美しい人だね)。

ウッノチ 自分の家。私。ウノチ、ウチノチ、ウラントコ<女>とも。[若年層は用いない]。大根布地区では、単に「ウチ」または「ウチノウチ」。

ウツル [五]似合う。映える。ニオ[五]とも。/ヨー ウツットッリョイネ(よく似合っていますよ)。

ウデル [一]茹る。/ウデタマゴ(ゆで卵)。

ウヤマイゴザ 敬いゴザ。<仏>正方形の畳表に縁を付けた御座敷物。僧侶がお参りに来たとき、仏壇の前に敷き、それに座って読経していただく。僧侶専用の座具。

ウラ [代]私。<女><老>/ウララ(私達)。ウラッチャ(私達は)。

ウレッシャ [感]嬉しい。それは素晴しいことだ。/ワー ウレッシャ マイガニ ハレタワ(わー嬉しい、うまく晴れ上がったわ)。

ウンダ カキャ ツブレタ トモ イワン [慣]無口で愛想のない。うんともすんとも言わぬ。全国的に多いのは「うんだとも、つぶれたとも言わぬ」(音沙汰がない。便りがない)。/アノ カー ムクチデ ウンダ カキャ ツブレタ トモ イワン(あの娘は無口でうんともすんとも言わない)。

ウントモ チュントモ [副]うんともすんとも。ウンモチュンモとも。全然口をきかない様。/ウントモ チュントモ イワン(全然何も言わない)。

 

 

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【エ】

 

 

エビス 料理名。寒天を煮溶かして薄味を付け、固めたもの。卵を混ぜる場合もある。四角い形や、富士山の形をしたものもある。金沢では「べろべろ」「えびし」「えべす」とも言う。

エライ [形]ひどい。辛い。/エライ メ(ひどい目)。

エンエン 声をあげて泣くこと。<幼>/キリモ モッコモナイ イツマデ エンエン シトルンヤ モー ヤメマッシ アリャ イマ ナイトッタ カラスガ モ ワロタ(しつこいですよ、いつまで泣いているのですか、もう止めなさい、あら、今泣いていた烏がもう笑った)。

エンショ 火薬。※「煙硝」。/タイホン ダマニ エンショ ツメル シゴト シトッタ(大砲の弾に火薬を詰める仕事をしていた)。

エンゾ 下水。どぶ。溝。ドボスとも。大根布地区では「エンゾ」を用いず「ドボス」という。

 

 

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【オ】

 

 

オー [五]背負う。オブルとも。オワン、オータ、オー、オートキ、オータラ、オエとワ行五段活用の変則的活用。

オー [五]会う。オワン、オータ、オー、オートキ、オータラ、オエとワ行五段活用の変則的活用。

オアタマシ おわたまし。御移し(ごいし)。仏壇、墓碑、家屋などの除幕式。<仏>※「おわたまし」。

オアンサン 長男。長兄。青年。アンチャンとも。

オイ 茶の間。[関連]ナンド(寝室)、ザシキ(仏壇のある部屋)。

オイサン 奥様。<老>

オイソ 部屋の下座の端。<老>/ワテ ミタイナ モンナ オイソノ ココデ ジューブンナガデ ゴゼーミス(私みたいな者は下座のここで十分でございます)。オマン ミタイナ モンナ オイソニ スーサットレヤ(お前みたいな者は部屋の隅に退いていろ)。

オイデオイデ 手招きすること。<幼>/アノ ニャンコ オイデオイデ シテ ミマッシ(あの猫に手招きをしてみなさい)。

オイデル [一]いらっしゃる(@居る・A来る)。<尊>/オイデル ガケ?(いらっしゃるのですか?)又は(来られますか?)。

オイニ [感]@そうです<女>。Aうん、わかっているよ[ぞんざいな返事]。オイヤ<男>とも。@/オイニ ホヤ トコト<老>(そう、そうなんですよ)。オイニ ホンナガヤ<壮>(そう、そうです)。オイニ ホンナンヤ<壮>(そう、そうなんだよ)。[若年層はあまり用いない]

オイヤ [感]@その通りだ。そうだ。Aうん、わかってるよ。[ぞんざいな言い方]オイニ<女>とも。<男>[返事]@オイヤ ホンナンヤテ アレントコノ カーチャン シンダンヤテ(そうだ、その通りだよ。彼の母親が死んだのだよ)。A/ワカットランカイヤ。オイヤ ホンナ コト グライ ワカットル ワイヤ(わかっているのか。あたりまえだ、そんなことぐらいわかっている)。

オウラサマ お裏様。門主の奥方。<仏>/ホンザン マインニ イッテ オウラサマニ オメニカカッテ キタワイネ(御本山にお参りに行って、御門主の奥方様にお目にかかって来ましたよ)。

オカイ おかゆ。オカイサン(京都では女性語で粥の丁寧語)とも。

オカカ 母。妻。女房。

オカミソリ 帰敬式。オカンソリとも。<仏>※「お剃刀」。浄土真宗の門徒が仏門に帰依することを誓う儀式。「オカンソリ」は「オカミソリ」の転。

オーキラシ [形]たくさんある。なかなか減らぬ。

オク [五]やめる。/ソロソロ クロ ナッテキタシ コンデ オイテ カエッカイネ(そろそろ暗くなって来たから、これでやめにして帰ろうかね)。

オクチ ヨゴシヤ ケド ドーゾ [連]粗末な食べ物ですけど、どうぞおあがり下さい。[挨拶]

オクラカス [五]遅らせる。

オケソク 仏前の供え物。※「御華足」。華足は華やかな足の意味で机・台・匣(はこ)などの脚の彫り物をいう。転じて供物台の意味となり、再び転じて供物そのものをいうようになった。

オコーイレ 香合。<仏>焼香するためのお香を入れる容器。仏具の一種。

オココ 沢庵漬け。コーコとも。/オココノ タイタン(沢庵漬けの煮物)。沢庵の古漬けを薄切りにし、水煮にして塩分や臭みを抜いて、だし・醤油で炊いたもの。粕を入れて炊く場合もある。コーコよりもオココの方が品が良い言い方。

オコジョ 毛虫・青虫の類の中の毒のあるもの。

オコタ 炬燵。<幼><女>

オコタチ よその子供さんたち。<尊>他家の子供たちのことを丁寧にいう。/オコタッチャー デカ ナラレタ ヤロネー(子供さん達は大きくなられたでしょうね)。

オコタリ むくい。悪い生活の仕方から自分でまねく悪い結果。/ダラナ セイカツ シトット シマイニャ ホノ オコタリ クッゾー。(馬鹿な生活をしていると、結局はそのむくいがくるぞ)。ハラクダリ シトランカ。アンマシ チビタイモンバッカ ノンサカイニ ホノ オコタリヤワイネ(下痢をしているのか。あまり冷たいものばかり飲むからその報いですよ)。

オコモジ 刻み漬け菜。金沢では「おくもじ」。※「お」+「茎」の頭字「く」+「もじ」(女房詞に由来する接尾辞)。他に「お」+「杓子」の頭字「しゃ」+「もじ」=オシャモジ。

オザブ 座布団。<女>

オサマル [五]止む。勢いが静まる。/キャ コンデ チョッコ ユッキャ オサマッタ ミタイ ヤネ(今日はこれでいくぶん雪が降り止んだみたいですね)。

オジ 次男。オッサマ、オッサン、オジマ、コッパオジとも。

オシキセガマシー [形]有り難迷惑な。

オジジ 老人男性。祖父。ジジ、ジージ、ジー、ジーサ、ジーサマ、ジーマとも。/ウンノ ジーサマ マタ ドコ イッタンヤロ チョッコモ チント シトランワイネ(家のじいさんは、またどこへ行ったのだろう。少しもじっとしていないんですよ)。

オシッチャ 御七昼夜報恩講。<仏>浄土真宗の宗祖親鸞聖人の命日、十一月二十八日を最終日にした一週間の仏教行事。

オシッチャアレ 十一月下旬の荒模様。御七昼夜報恩講の頃、必ずといってよいほど天候が荒れること。

オシナケル [下]無くなる。[関連]オシナカス(無くする)。※「失しなける」の転。

オジマ 次男。弟。

オシマイ サン [慣]今晩は。[挨拶語]大根布地区で多く用いる。

オジミゾイ 伯父と姪との結婚。

オシメコ おむつ。オシミコとも。

オシメリ 少々の雨。※「お湿り」。

オジャミ お手玉。主に女児の遊び。小さな布の袋に小豆または小砂利を入れて作ったお手玉。※袋の中の物の音。

オシャリサン 喉仏の骨。/オシャリサンワ チンコイ ホーノ コツツボニ イレルンヤゾ(喉仏の骨は小さい方の骨壷に入れるのだぞ)。

オシンボッツァン 新発意。オシンブッツァン、ワカサンとも。<仏>※「新発意(しんぼち)さん」。

オズズ 数珠。ズズとも。/キンノノ ヨーサリ ヨトギニ イッテ オズズ オトイテ キタンヤワ ドッコニモ ナイモンノ(昨日の夜、通夜に行ってお数珠を落として来たのだわ、どこにも無いからね)。アリャー コンナ トコ ズッザ オチトランヤ(ありゃあ、こんなところにお数珠が落ちているぞ)。コナイダ キョート マインニ イッテ オズズ コーテ キタワイネ(先日、京都へお参りに行って、お数珠を買って来ましたよ)。

オスマシ すまし汁。/ショージン リョウリニャ ヤッパ ミソシッリャ ダチャカンワイ オスマシデ ナケント(精進料理には、やはり味噌汁は駄目だ、すまし汁でなければいけない)。

オセーボ 御歳暮。老年層は クレノ ツケトドケ とも言う。中元と歳暮を総称して ボン クレノ ツケトドケ。

オゾイ [形]粗末な。品質の悪い。まずい。/コンナ オゾイ シナモン ドコデ コータンヤ(このような質の悪い品物を、どこで買ったのか)。オゾイ ハナシヤナー(内容に乏しい粗末な話だなー)。

オゾケ 悪寒。強い寒気。

オソラト [副](時間的に)遅く。/ヨーサリ オソラト(夜遅く)。ホンナニ オソラト コンナイヤ(そんなに遅い時間に来るなよ)。

オタンコナス 馬鹿。

オチョクル [五]こけにする。馬鹿にする。笑いものにする。からかう。

オッキ 起きること。<幼>/ハイ オッキ シテ(はい起きなさい)。

オツキサン 月。/オツキサン カサ カブットルサケ アシター アメヤラ シレン(月の周りに笠をかぶっているように輪ができているので、明日は雨かもしれない)。

オツケ お汁。[関連]ミソシル、スマシ、カスジル、オトシミソ(味噌の熱湯を注いだだけの汁)。

オッサマ 次男。弟。末っ子の男性。オッチャン、オッサンとも。

オッサン @次男。弟。A中年の男。@の意味ではオッチャン、オッサマとも。

オッチャン 子供が座ること。<幼>愛知県・兵庫県では「おちゃん」、能登では「おっちゃいする」と言う。/オッチャン シトロ(座っていなさい)。ハイ オッチャン シテ(はい座って)。

オツム @頭。A頭脳。能力。@<幼>/オツム ナデナデ[子供の頭を撫でる時に言う]。A/オツムガ ワルイモンデ スンマセンネ(頭が悪いものですから、すみませんね)。

オッモシ [形]面白い。妙な。変な。

オツユ お汁。オツケとも。オツケよりオツユの方が上品。

オデキ 腫物。※お+「できもの」の下略語。

オテマ 駄賃。お使いに対するご褒美。テマとも。※「お手間」「手間賃」。

オテモト 箸。<丁>

オテラサン 御坊さん。

オドカス [五]驚かす。

オトキ 法要でだす食事。お斎。

オトコシ 男の人達。※「男衆」。

オトコミロ 御転婆娘。※「男女郎」。

オドス [五]犬などが噛みつきそうに吠える。

オトツイ 一昨日。※「おととい」。

オトト @亭主。あるじ。Aお魚<幼>。

オードナ [形動]蓮っ葉な。いいかげんな。粗雑な。/オードナ シゴトオ シンコッチャ(粗雑な仕事をするなよ)。金沢では「大袈裟な」の意味。

オトマシ [形]惜しい。勿体ない。※「疎(うと)ましい」の転。金沢では「おとましい」。価値のあるものを失えば「あったらもんな」、たいして価値のないものならば「おとましい」を使うという説もある。

オドリャ [代]このやつ。こいつ。お前。オドリャクサン、オドリャソノとも。相手に対する喧嘩ごしのぞんざいな言い方、呼びかけ。※「おのれが」の転。「お前が」の意では オドリガ や オドレガ とも。

オトロシ [形]恐ろしい。怖い。ものすごい。/オトロッシャ(ものすごいことだ)。アン ヒター クッチャ キッタナテー ハナシ シットキャ オットロシ ワイネ(あの人は口が汚いので話をする時は恐ろしいですよ)。

オナゴシ 女の人達。※「女子衆」。

オナシ [形]同じ。オンナシとも。

オナス 茄子。ナスビとも。<女><丁>

オニギリ 握り飯。オムスビとも。「オムスビ」と半々に用いる。単に「ニギリ」と言うと、「江戸前の握り鮨」のことになる。

オババ 老女。祖母。ババ、バーバ、バー、バーマ、バーサ、バーサマとも。大根布では ヤーヤ とも。

オハヤバヤト [副]とても早くに。<女><丁>

オハヨサン [感]おはようございます。[挨拶]。オハヨ、オハヨサン、オハヨサンデス、オハヨサンデゴザイミスの順序で丁寧さが増す。

オヒカリ 仏壇の燈明。オヒとも。<仏>/オヒカッリャ クチデ ケス モンデ ナイガヤゾ(仏壇の燈明は口で吹き消すものではないのだぞ)。オヒカリ アゲル(燈明をつける)。

オヒキ 何かを贈ってもらった際の、あるいはあげた際のお返し、返礼。/サカナ タント モロタシ オヒキニ カンズメ イッピキヤケド モッテッテ(お魚をたくさんいただいたので、お返しに缶詰一個だけど持っていってください)。

オヒサン 太陽。日光。オヒサマ、オテントサンとも。※「お日様」の転。/キャ オヒサン デマシテ ケッコナ コッチャネ(今日は太陽が出て結構なことですね)。

オヒツ 飯びつ。※「櫃」。

オヒヤ 冷水。<女>

オブ お湯。オブーとも。<幼>/サ オブ ノンマッシ(さあ、お湯をお飲みなさい)。

オフミサン 蓮如の書いた手紙。浄土真宗大谷派(東)では「御文(おふみ)」、浄土真宗本願寺派(西)では「御文章(ごぶんしょう)」と言う。読経後、読みあげる。

オブル [五]背負う。オー[五]とも。

オベンチャラ お世辞。おべっか。口先だけで心のこもっていないこと。※「弁茶羅」。

オボキサン 御仏飯。仏にそなえる御飯。オボケサンとも。※「御佛供さん」の転化。金沢では「おぼくさん」。/オボキサン アゲル(御仏飯をそなえる)。オボキサン サゲル(御仏飯を下げる)。オボキサン ヒーテクル(御仏飯を下げて来る)。オボキサン モル(御仏飯を器に盛りつける)。

オボコイ [形]子供っぽい。幼稚な。

オボタイ [形]重い。オッボテーとも。※「重たい」の転。/アッルァ オッボテーナー(あーあ、重いなあ)。オボタイ ニモツ(重い荷物)。

オマッコ おまる(携帯用便器)。

オマッチ [代]お前たち。

オマン [代]お前。君。ワンとも。[関連]オマンラ、オマンラッチャ、オマッチャ、ワラッチャ。/オマンチ(君の家)。オマントコ ショーガッツァ ドッカ イカンカ(お前の家族は正月はどこかへ行くのか)。オマンナラ ワカッリャロト オモテ イッペン デンワ シテ ミッリャト オモテ ホンデ デンワ シタンヤ(君ならわかるだろうと思って、一度電話してみようと思って、それで電話をしたのだ)。

オーミズガツク [慣]洪水になる。子供が寝ていて、寝小便をすること。

オミド 寺院の本堂。※「御御堂」。おみあし(御御足)、おみおつけ(御御御付)、おみこし(御御輿)などと同じように、丁寧・尊敬の意を表わす接頭辞の「御御」が名詞「堂」に付いたもの。

オモッシ [形]面白い。変な。おかしい。妙な。オッモシ、オッモッシ、モッシー、モッセーとも。/コナイダ シタヤロイヤ オモッシ(この間しただろう。妙なことを言うなよ)。

オモヤ 本家。※「主屋」。別家に対する主家。[関連]アジチ。

オモル [五]おごる。/コナイダー ワシャ オモッテ モロタシ コンダー ワシノ ハロ バンヤ(この前は俺がおごってもらったから、今度は俺が支払う番だ)。

オーヤケ 旧家。金持ち。財産家。資産家。/アコノチャ オーヤケヤ(あそこの家はお金持ちだ)。

オヤッサマ 中流以上の主人。※「親父様」。

オヤマ 金沢市。※「尾山」。

オユルッシュ [感]よろしく。[別れの挨拶]

オランババ (魚名)赤おこぜ。

オル [五]いる。[存在]/アリャ マダ ヨメサン オランガカイヤ(あいつにはまだ嫁がいないのか)。トモダチ ヤッモド オルガンカ?(友達はたくさんいるのかな?)。マダ ダレモ オランゾイヤ(まだ誰もいないぞ)。コトシャ デッカイ コト セッミャ オルナー(今年はたくさん蝉がいるなあ)。

オレトゲル [一]仏にお参りする。※(阿弥陀如来によって必ず救われることに対しての)お礼を遂げる。

オン [感]うん。はい。[返事]/オ オン。(う、うん)。オン ホンナンヤ(うん、そうなのだ)。オン ホンナガイテ。オン ホンナガヤテ(うん、そうなのだよ)。

オンコ 大便。ウンコ、ウンチとも。

オンタ 雄。[関連]メンタ(雌)。

オンドベ お尻。ゲス、ゲスベタとも。ゲス、ゲスベタよりは品が上。

オンナニマリ 正座。

オンバヒガサ 温室育ち。乳母が日傘をさしかけるようにして、過保護で育ったの意。/アンヒター オンバヒガサデ ソダットッサカイ ホンナ コター ワカランヤロー(あの人は温室育ちだからそのようなことはわからないだろう)。

オンミャカシ 賽銭。御仏前。蝋燭代。※「御御明かし」。

 

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