正信偈ノート

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9−16行

[正信偈本文]

五劫思惟之摂受

重誓名声聞十方

普放無量無辺光

無礙無対光炎王

清浄歓喜智慧光

不断難思無称光

超日月光照塵刹

一切群生蒙光照

 

[読み方]

ごこうしゆいししょうじゅ

じゅうせいみょうしょうもんじっぽう

ふほうむりょうむへんこう

むげむたいこうえんのう

しょうじょうかんぎちえこう

ふだんなんしむしょうこう

ちょうにちがっこうしょうじんせ

いっさいぐんじょうむこうしょう

 

[書き下し文]

五劫、これを思惟して摂受す。

重ねて誓うらくは、名声、十方に聞こえんと。

あまねく、無量光・無辺光、

無碍光・無対光・光炎王光、

清浄光・歓喜光・智慧光、

不断光・難思光・無称光、

超日月光を放って、塵刹を照らす。

一切の群生、光照を蒙る。

 

[本願寺派冷泉勝英氏の意訳]

ながき思惟の時へてぞ

この願、選び取りませり

かさねてさらに誓うらく

わが名よ、ひろく聞こえかし

十二の光、放ちては

あまたの国を照らします。

生きとし生くる、ものすべて

このも光のうちにあり。

 

[メモ]

劫→(蓮如上人の解釈)40里四方の岩を、3年に1回天人が羽衣でなでて、擦り減ってなくなる時間のこと。

摂受す→48の本願にまとめた。

名声→南無阿弥陀仏の名号が

十方→全世界。前後左右とその間の四方八方に、上下の方向。

塵刹→あらゆる世界。

群生→生きとし生きるものは、

1)無量光(量のない光)

*親鸞聖人御和讃*

智慧の光明はかりなし

有量の諸相ことごとく

光暁かぶらぬものはなし

真実明に帰命せよ

2)無辺光(届かぬところがない光)

*親鸞聖人御和讃*

解脱の光輪きはもなし

光触かふるものはみな

有無をはなるとのべたまふ

平等覚に帰命せよ

3)無碍光(妨げられない光)

*親鸞聖人御和讃*

光雲無碍如虚空

一切の有碍にさはりなし

光沢かぶらぬものぞなき

難思議を帰命せよ

4)無対光(比べるもののない光)

*親鸞聖人御和讃*

清浄光明ならびなし

遇斯光のゆへなれば

一切の業繋ものぞこりぬ

畢竟依を帰命せよ

5)光炎王光(すぐれた威力の火玉である光)

*親鸞聖人御和讃*

仏光照曜最第一

光炎王仏となづけたり

三塗の黒闇ひらくなり

大応供を帰命せよ

*蓮如上人『正信偈大意』*

「三塗黒闇の衆生も光照をこうぶり解脱をうるは、このひかりの益なり。」

6)清浄光(貪りを滅す清らかな光)

*親鸞聖人御和讃*

道光明朗超絶せり

清浄光仏とまうすなり

ひとたび光照かぶるもの

業垢をのぞき解脱をう

7)歓喜光(瞋りを滅す喜びの光)

*親鸞聖人御和讃*

慈光はるかにかむらしめ

ひかりのいたるところには

法喜をうとぞのべたまふ

大安慰を帰命せよ

8)智慧光(無知を滅す智慧の光)

*親鸞聖人御和讃*

無明の闇を破するゆゑ

智慧光仏となづけたり

一切諸仏三乗衆

ともに嘆誉したまへり

9)不断光(常に照らして断えることのない光)

*親鸞聖人御和讃*

光明てらしてたえざれば

不断光仏となづけたり

聞光力のゆゑなれば

心不断にて往生す

10)難思光(人間の思いの及ばない光)

*親鸞聖人御和讃*

仏光測量(しきりょう)なきゆゑに

難思光仏となづけたり

諸仏は往生嘆じつつ

弥陀の功徳を称せしむ

11)無称光(ことばで表現しきれない光)

*親鸞聖人御和讃*

神光の離相をとかざれば

無称光仏となづけたり

因光成仏のひかりをば

諸仏の嘆ずるところなり

12)超日月光(太陽や月の光をこえている光)

*親鸞聖人御和讃*

光明月日に勝過して

超日月光となづけたり

釈迦嘆じてなほつきず

無等等を帰命せよ