...■ CREATING! ■...
シーツな
カーテン

 この部屋にはもう何年もカーテンらしいカーテンをかけていません。カーテンレールが壊れたのをいいことに、思いきってカーテンレールを取り払いました。その代わり、竹竿に生成の木綿の布をたらりと掛けています。長さもバラバラで布端を三つ折りしてミシン掛けしただけです。以前は木製の洗濯バサミでつるしていたのですが、風で外れたりすることもあって、結局掛けておくことがいちばん理想的だと分かったのです。太陽の光が力強い季節になると、朝は光で目覚めます。冬は窓からの冷気対策としての防寒には物足りないですが、季節そのものの明るさや温度が伝わるという意味では、カーテンの生活より自然に近い空間をつくっています。感覚的に障子に近いです。いつだったか、アメリカの女性画家ジョージア・オキーフ(1887-1986)がニューメキシコ州で晩年に住んだ部屋をみて、「私とおんなじ!」と思いました。彼女の部屋のカーテンはシーツだったのです。オキーフの家が発する生活のオーラは、シンプルで魅入りました。自宅周辺で拾ってきた動物の骨などからインスピレーションを受けたり、スタイルをもった簡素な衣服をまとい、クレソンを摘んできてサラダにするような食事をするなど、彼女の作品よりも、生き方や暮らしに共鳴してしまいました。ということで、シーツなカーテンで春夏秋冬暮らしていますが、カーテンの向こうの風土を感じる暮らしはこれからも続いていくことでしょう。
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