...■ NATURAL! ■...
布ごしの光の美しさ
のれん

 部屋に絵を飾ったりすることを好まないのは日本人たるゆえでしょうか。窓が一枚の絵画に匹敵すれば、これほど素敵で美しい光景という絵はないと思うのです。北向きで障子を入れた窓は、この部屋に一定の明るさをもたらします。その窓にもう一枚オブラートとしての暖簾を重ねています。光の強い昼間、障子の格子がのれんに透けて見え、さながらモダンアート。夕闇の時間には、かすかな光を奥に秘め、息をのむような作品に変わります。暖簾は、近江の上布(麻)で漁網を編み込んであります。電車でトコトコ長浜(滋賀県)へ出かけた時に、ふと商店街のお店で目にとまったものです。
 住まいという空間では、アート然としたものを飾ることよりも、暮らしの中にあってしかるべきものが、それ自身毅然として存在しているほうが、私にとっては「美しい」です。布ごしの光の美しさを気付かせてくれた暖簾は、私にとっては立派なアートであり、それでいて、暮らしの一部でもあるのです。
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