■2/23 ▽→ローマ
▽アリタリア機内にて
出発が20分程遅れている。また旅に出るという実感が湧いてきた。ただ「なるようになる」としか考えられない。きっとうまくいくと自分を信じるしかない。1か月すべて自分の意志で考え、動く。
うとうとしてしまう。ちょっと眠い。旅に出る前夜はぐっすり眠れない。旅行中も大概深く眠れないけど、旅の予感と緊張感と不安が好きだ。
窓の外に雲がぽっかり流れていく。飛行機の中は比較的安全な場所である。(居場所があるという意味で…)
イタリア人乗務員は陽気で仕事中もイタズラして笑ってる。人生何事も楽しまなくっちゃソンです。
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人が旅に出るのは、どこか心の拠点となる自分だけの故郷を求めてるからかもしれない。ポカラ(ネパール)で会った人が言ってた、自分の好きなまちの定義みたいなものを思い出す。
私にとっての定義は、
「1時間くらいで歩き回れて、小さな広場に市場がある。すぐ近くに湖とか河とか自然があって、そこで何もせずにボーっとできる。住んでる人のイマの生活が感じられるところ。エトランゼでも同じ時を過ごせそうなところとでも言おうか」
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いつも頼れるのは自分の体と精神(心)ということが、ひしひしと感じられる。ひとつ、自分らしさを確かめる作業。こうやって今自分のやってることは自分以外の何者でもないし、自分に責任を持たねばならない。人が生きてくうえで強くなるのは、そういうことを認めたうえで、相手に思いやりを与えることができる時だろう。
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働く人の姿は美しい。4月から「心に美しく」働ける人になろう。
■2/24 ▽ローマ
7時、教会の鐘の音で目覚める。
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パンテオン。いま天の窓の下にいる。先人が何を考えたか分からないが、その創造のもと、時間を経て、いま私はここにいる。ローマの街は偉大で、ふとしたところに歴史の宝石が埋っている。
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何もないようで単純なところから「知」は生まれている。それが人間だと思う。
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自分の見たいものを次々と選択している。それは人生そのものかもしれない。
■2/25 ▽ローマ
イタリア人…唄を口ずさみ、陽気で…ちょっと親切で個人主義。気軽でBARでお話して、あの濃いエスプレッソに砂糖をトボンと入れて、気の向くまま話をしている。赤いセーターをポイントにしたおじさん、ゆったりとしたコートに体を包んだマダム。その貫祿がやけに街に馴染む。食べ物おいしくて、人生を楽しむ人がいて、歴史と同化している。
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まちかどのピザが美味い。ちょっと焼いて、紙に包んで手渡す。
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ひとつひとつの思いやりがどんなに嬉しいことか。なかなか簡単だと思えることほど、ホントはすごくすごく難しいこと。
■2/26 ▽ローマ→イスタンブール
朝7時のエアポートトレインに乗ってエアポートへ。
ここで、VIN(=チンザノ)とクラッカーを買い、トルコに備える。残ったリラは100L(8円)
飛行機の中、東洋人はonly me?!
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いろいろとあった一日でした。
人を信じるということ、人を頼るということ、1人で歩いていくということ。人と人との距離って難しい。もしかして、自分を測るものさしなのかも。
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街角で会った人がお茶をごちそうしてくれる。人に親切にすることは結局自分への恵みなのだろうか。
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笑顔と誠実な心…通じると思う。
どこにいても自分は自分だということ。人に嫌われまいとして、「なあなあ」で済ませる人間で終わらせたくない。ここは少し考えすぎかもしれないけど、人を疑うことしか知らない人間になりたくない。さらに、人の痛みは理解していたい。
■2/27 ▽イスタンブール
見られるとこまで見ておこう。
今回の旅はどこかに重点を置かないと何も得られないかもしれない。
■3/1 ▽イスタンブール→チュニス
空港の人に「なぜチュニスなのか」と聞かれた。
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皆はラマダンということで機内食をほとんど食べませんでした。でも、離着陸で拍手するし、機内では大はしゃぎ。
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世界じゅうで笑顔の通じないところはない。誰だって本心から悪い奴なんていない。
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人にやさしくするということは、相手の力になってあげられるときに手をさしのべることができるということ。心を開いてあげられるということ。
■3/1 ▽チュニス
ラマダン(断食)はつらい。
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なぜ旅を続けるのか分からなくなってきた。
何を求めて、何を探して、こうやって歩いているのか?
何も意味のないことに意味を見い出そうとしている。
■3/4 ▽トズール
今サハラの片隅。
慣れない習慣のなか、エトランゼは少しずつ染まっていく。
この国ではすべてのことが神のおぼしめすままになっているのかもしれません。小さなことにくよくよしてもしょうがない。あるがままの運を天に任せて歩いていこう。なんとかなるさ。
この旅では、「旅の要領」そのものでマゴついたりしないし、多少のカルチャーショックのなかでもビクついたりしない。自分さえあれば、決して失うものはないと思う。守るべきものは自分。そして受けた恩恵に報いること。
いろいろな人の支援があって、今の私がある。
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その人の生き方は本人にしか変えられない。この厳しい環境の中にいると、自分というものがあって、人にも強くあってほしいという念があるのを感ずる。セラヴィ。
■3/6 ▽チュニス
バルドー美術館に行くとき道を教えてくれたおじさん、赤いカーネーションを差し出してくれた花屋さん、メディナの青年、郵便局のおじさん、みんなありがとう。
その土地でよかったなと思えることは、こういったこと。習慣や歴史を知り、もっと深くもっとやさしくなれる。人に対して心をopenにしてること。
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人との一期一会、同じ会うなら、もっと自分自身として気持ちよくなれるような、そんな生き方の選択をしたい。
■3/7 ▽チュニス→カサブランカ
旅も折り返し地点。全然日本に帰りたいと思わないのが不思議。現実と直面することへの逃避かもしれない。
いいことがあれば悪いこともある。悪いことが100コあっても、いいことが1つでもあれば、それは幸せだろう。どんなことがあっても生きていかねばならないし、何より人の気持ちを大切にできる人間になりたい。
■3/9
いつの間にか時間はたつものだ。無我夢中で駆け抜けてきて、振り返る間もなく、また駆け抜けていくのが「旅人」である。流されてしまいそうになり、必死にもがき、道を貫く。
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モロッコに入って3日。もう3日という気もするし、まだ3日という気もする。
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毎日タフに動いている。そして、ここに住む人の空気で呼吸している。
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『Be strong』
ベルベルの人に学んだこと。
逃げない、直面する、どんとぶつかる。強くなる。
自分に、そして人に対してまっすぐにちゃんとちゃんと生きること。
■3/11 ▽ティネリール
人を信じること、自分を与えることが、いかに難しいかを知った。
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いつかひとりじゃなくて、ふたりかそれ以上で余裕の旅をしてみたい。今ちょっぴりひとりでいることがつらい。だから、ひとりよりふたりの強さ。悲しみも喜びも分かちあえる…。
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生きていくのに必要なもの。それはパンとオレンジとチーズと水。少々の旅の道具。何よりも前向きに考える姿勢、そしてハートだと思う。つらいことも楽しいことにかえるパワーって、きっとある。
■3/15 ▽フェズ
のちにモノを残したくない。というより自分の身に、脳に刻みつけておけるような経験を買うことの大切さを学ぶ。
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自分で生きていくのに足りる収入を得て、その分に応じた暮らしをし、死ぬ時には何も残さない。そんな美しい生き方をしたい。今、自分が置かれた状況、境遇の中で、精一杯最大限の努力をする。悩むに値しないことでくよくよしない。もっと世の中に眼を向けること。脳みそに力を入れること。
■3/18 ▽アリカンテ
(アリカンテはスペイン・バレンシア地方。アンダルシア地方を回るつもりが、精魂つき果てて、「リゾート」することにした)
アリカンテにいては、これといってすることがない。だから、街をぶらぶらして、人々の生活の合間をこっそり見ている。
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この地球の上で、太陽はのぼり、そして暮れていく。何十回、何百回、何万回と、同じことが繰り返されている。そんな中で人間の営みも繰り返されている。ごく普通の感覚を大切にしたいと思ったのも、これに気付いたから?
■3/19 ▽アリカンテ
旅も終わりに近づいてあと2日半といったところ。
傷ついたり、幸せだったり、後悔したり、いろんな波の連続だったけど、今日の私は昨日までの私と違う新たな発見をしている。たとえ毎日が同じことの繰り返しだったとしても、何も変わってない訳ではない。時間は成長させてくれている。こうやって、あーやって、人は生きてるけど、その中の一点が自分なんだということ。
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旅をしていて、生活の原点を見直すきっかけをつくれた。
自分が嫌でたまらなかった頃、脱出するきっかけとして、旅することを選び、今そろそろピリオドを打とうとしている。
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いつも心の中で熱く燃えるような夢を持ってる自分でいたかった。そして、ずっと追い掛けていたかった。だけど、自分なりの結果が出なくて、もどかしがっていた。
■3/22 ▽→日本
今の私には、これ以上得るものはあっても失うものはない。
人間の汚いとこ、いいとこ全部含めて大好き。
すべての人間は自分なりに生きていたくて必死なんだ。
考え方、価値観、人の数だけ人生のドラマがある。
今、ドアを開けて歩いてゆかねばならない。何事にも屈することなく…。
Strong! Honest!
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