"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 舞台評「ア二ーよ銃をとれ」(新宿コマ劇場)




「読売新聞」
「ミュージカル評」
(安)

「資質光る桜田淳子、あおい輝彦が控え目に支える」

 

 出演者を一新して十六年ぶりの再演である。「アニーよ銃をとれ」は第二次大戦が終わった翌一九四六年、ブロードウェーのインペリアル劇場で幕を明け、エセル・マーマンの主演で三年間のロングランを記録したミュージカル。

 後にべティ・ハットンの主演で映画化され話題となった。

 ストーリーは射撃のうまい田舎娘アニーと射撃のスターであるフランクとの恋物語である。当時のブロードウェー・ミュージカルは、テーマとかストーリー展開よりも音楽や踊りの方が重視され、初演の成功はアービング・バーリンの作詞作曲による美しいメロディー、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマーステイン二世のミュージカルを知りつくしているチームのプロデュースの勝利ともいわれたものだ。

 日本での初演は、江利チエミと宝田明の二人の体当たり演技によって成功した。そして今回・ラブストーリーの主役を演じるのは桜田淳子、あおい輝彦である。ことに淳子はミュージカル初挑戦として注目を集めた。そしてみごとにその資質を光らせた

 以前にアメリカの夏のテント劇場でこのミュージカルを見た時も、江利チエミの初演の時も、熱演また熱演といったところだった。

 しかし今回の桜田淳子は前半はかなりおさえている。それはミュージカル初出演のためまだ方法論をつかんでいないというのではなく、屈折しながらも、その手につかむ幸福の重さと書びを鮮烈に表現したかったからだろう。だから彼女は自分のアニーを作るのに成功したのだし、それを支えてくれたのが、ひかえ目なあおいの演技である。

 今年はミュージカルが活気を帯びている。その要因の一つが、先ごろの「ファニー・ガール」の鳳蘭に続く、この「アニー………」の桜田淳子新しいミュージカルスターの誕生だ。一万が宝塚、一方が歌謡曲と、それぞれの分野でスターだった人が、その華やかさを振り捨ててゼロから挑戦した。そこがとても小気味よい。二十五日まで








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