"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 舞台評

「ア二ーよ銃をとれ」(新宿コマ劇場)



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「週刊朝日」(80.11.14)/「神津善行の音楽の落とし物」/ (神津善行)
「線は細いが実に立派な演技であり、江利嬢に優るとも劣らないすばらしいものであった」  

「読売新聞」
「おめずおくせず伸び伸び 真剣な姿勢が今回の成功に! 成功したミュージカル初出演 桜田淳子

「読売新聞」 / 「芸能ポスト」 / (竹内秀子)
「ミュージカル挑戦みごとな桜田淳子  

「読売新聞」 / 「ミュージカル評」 / (安)
「資質光る桜田淳子、あおい輝彦が控え目に支える」

Columm[シアターノート]Play / (小田島雄志)
「ときには可憐で頼りない乙女心を見せて観客の心を惹きつける、という瞬間があった桜田淳子

「演劇界」 / 「新宿コマ」
「ミュージカル・タレントとしての素質をこの舞台で証明して見せた桜田淳子  

「演劇界」 / 「新宿コマ」 / (石崎勝久)
「今回が、いちばんの上出来になった」

「読売新聞」
「女優開眼 桜田淳子

「アサヒグラフ」 / 「舞台うらおもて」 / (吉岡範明)
「歌手桜田淳子に見るミュージカル女優の素質」    




☆新宿コマ劇場 コマ十月特別企画 ミュージカル『アニーよ銃をとれ』
 十月二日〜二十五日 〔十二時半・五時半 日曜、祝日十二時・四時半
   但、初日一時一回三、十七、二十四日五時半一回 七、十三、二十五日十二時半一回〕


音楽作詞アーヴィング・バーリン
台  本ハーバート・フィールズ
 〃ドロシィ・フィールズ
翻  訳倉橋  健
オリジナル訳詞中村メイコ
演  出岡田 敬二
演 出 補新美 正雄
音楽監督吉崎 憲治
装  置大橋 泰弘
振  付中川 久美
 〃喜多  弘
照  明今井 直次
衣  裳任田 幾英
声楽指導鹿児島青志
効  果八幡 泰彦
訳  詞青井 陽治
インスベクター野崎  誠
アニメーション安井 悦郎
特殊効果菊池  潔
音響監督野田 幸一
舞台操作藤平  昭
照明操作原  信広
演出 部古前美紀夫
 〃朝倉 睦男
 〃樫村  格
 〃吉田 利美
演  奏コマ・ニューサウンドオーケストラ
指  揮中谷 勝昭
 〃青山  勇
ドラムス小津 昌彦
 〃原田寛治
E・べース荒井 敏夫
E・ギタ−野中 宗光
ピアノ今城 嘉信
キーボード永田 一郎
  〃熊坂  明
  〃古田 寛弘
  〃勝山 晃男
バーカッション伊藤 暎子
  〃加藤志保美
トランペット羽鳥 幸次
  〃高橋 一光
  〃乾 亜都天
トロンボ−ン大高  美
  〃松口 正人
  〃大内  登
 

出演者連名

アニー・オークリー

桜田 淳子

フランク・バトラー

あおい輝彦

 
シッティング・ブル

ハナ  筆

 
チャーリー

左 とん平

フォスター・ウィルソン

小松 方正

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ドリー・テイト

重山 規子

バッファロー・ビル

池田  鴻

 
マック(小道具係)内藤  陳
ボーニー・ビル宇田 郁馬
シルビア・ポッター田辺さつき
ヘンダーソン氏結城 敬二
カウボーイ児島日出夫
インディアンの男矢倉 鶴雄
老紳士佐々木 襄
アダムス夫人杉山 智子
ヘンダーソン夫人本郷莉絵子
インディアンの女矢吹 弓枝
 
今野 宙介 水木  誠 石橋 俊二 山口 正義
吉田 陸生 前田 憲作 坂口 哲夫 桑名 和也
阿部 健多 松沢 重雄 宮本 亮次 高橋 信彦
松田 浩二 佐藤 祐治 長谷川秀夫 滝本  操
 
菊田 広美 大森恵美子 上実  光 村田みどり
安松  操 植田多華子 小松 蓉子 三崎由記子
小池日登美 吉岡 麻耶 南  友梨 橘  恵美
児島  葉 川田 美子 長島 陽子 彩木 美加
 
深居 みさ 菅野 麻紀 山本 直子 赤丼 祐子
小川 晃世 内田 順子 玉木  潤 大原 和彦

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コマ・ミュージカルチーム  コマ・プロ ダンサーズ  劇  団  若  草
劇 団  ひ ま わ り  劇 団 日 本 児 童  劇団 こ ま ど り
演奏 コマ・ニューサウンドオーケストラ   指揮 中谷勝昭 青山勇
 
   (四〇〇〇円・三〇〇〇円・一八〇〇円・八〇〇円)


ものがたり
 南北戦争がおわって、まだ間もないころの話である。
 オハイオ州の片田舎に、アニ−・オークリーという鉄砲のうまい少女が住んでいた。
 彼女は、山鳥を射ってはそれを売り、おさない弟妹を養なっていた。
 アニーが住む近くの町に、バッファロー・ビルがひきいるワイルド・ウェスト・ショウ一座がやってきた。
 この一座には、フランク・バトラ−という花形射手がいた。
 このフランクとアニーが腕くらべをすることになり、アニーが試合に勝った。バッファロー・ビルと一座のマネージャーのチャーリーは、アニーをフランクの助手としてやとうことにした。
 アニーはフランクを一目見たときから好きになった。
 野育ちで男の子のようにすさまじいアニーの心のなかに、そんなやさしい恋が芽ばえていようとは、フランクは夢にも知らなかった。
 弟妹をつれて、一座に参加したアニーは、フランクの気にいられるような女になろうと、まず読み書きの勉強をはじめた。
 またチャーリイにすすめられて練習も、ひそかに始めた。
 いつかはフランクに自分の努力をみとめてもらい、彼の関心をひこうという女心からであった。
 フランクもそういうアニーのすなおな態度にだんだん好感をもち、愛情を感じるようになってきた。
 ワイルド・ウエスト・ショウのライバルは、ポーニー・ビルがひきいるファー・イースト・ショウであった。
 ミネアポリスで、この二つの一座の公演がかち合い、客の奪いあいになった。
 バッファロー・ビルは、最後の切札として、アニーを出演させた。これは大当りをとり、アニーはスー族の酋長のシッティグ・ブルの養女にむかえられた。
 だがフランクは、アニーが自分を踏み台にして利用し、スターの座に昇ろうとしているのだと誤解して、ポーニー・ビル一座に走ってしまった。
 チャーリーの妹でフランクの助手だったドリーもやめていったバッファロー・ビル一座はアニ−を中心に、ヨーロッパに渡り大成功をおさめたが、宮廷や王室での特別公演が多く、勲章はたくきん買ったが、経済的には大変な赤字であった。
 アニ−たちが貨物船でニューヨークにもどってきたとき、ポーニー・ビル一座は楢舞台のマディソン・スクェア・ガーデンで興行していた。しかしこの一座も、今までの借金がかさんで、動きがとれなくなっていた。
 二人のビルは、おたがいに相手の成功と金をあてにして、一座の合併をもくろんだ。ポーニー・ビルはバッファロー・ビル一座の大歓迎会をホテルでひらき、フランクとアニーは再会し、喜んだ。
 だが合併の話は、たがいに相手が無一文だとわかって決裂しそうになるが、ブル酋長の機転でまるくおさまった。
 そのとき、今度はアニーとフランクが、どっちが世界一の射撃のチャンピオンかということで口論をはじめ、結局ニューヨーク港外のガバナーズ島で試合をして決めることになってしまった。
 ガバナーズ島への渡し船のなかで、ドリーがアニーの銃に細工をしようとしているのを、チャーリーとブル酋長が取りおきえた。
 二人は初めは激怒するが、やがてブル酋長は、アニーは射撃で一番になるよりフランクと結婚するほうが幸福なのだといいだし、アニーの銃の照準をドリーから取りあげてベンチで曲げてしまった。
 試合では、アニーの射つ弾はみんなはずれ、アニーはあせりだした。見かねたフランクが目の銃をかすと、今度は不思議に当った。
 しかし負けん気のアニーが、フランクに銃をかえし、自分の銃で再び射ちはじめようとしたとき、プル酋長はアニーの耳もとでささやいた「……負けるが……勝ちじゃ。鉄砲では男はつかまらない」
 すべてを諒解したアニーは、晴れやかな顔で試合の残りを放棄し、「私の負けノー フランク・バトラーこそ世界一のチャンピオンノ」と幸福そうに宣言するのであった。
 フランクとアニーは結婚し、合同した両方の一座は、二人を中心に、町から町へと華やかなショウの旅をつづけていくのであった。
 



桜田淳子 プロフィール(パンフレットより)


 山口百恵引退のあと、この年代のタレント群の中で、将来を期待される唯一のホープであろう。
 最近の歌手の登龍門(歌手というよりタレント」となっている日本テレビの「スター誕生」の第四回チャンピオンである。
 四十七年のとき。四十八年にビクターから「天使も夢みる」でデビューしたのが、中学三年。百恵、森昌子と並んで“花の高一トリオ”と呼ばれて人気者となったが、それからもう五年の歳月が流れている。
 桜田淳子がこの世代での期待の星という理由はこういうことだ。
 彼女が最近映画やテレビで、ドラマの中に俳優・淳子としての素質をつかみつつあるからだ。
 五十年十月長谷川一夫の「おはん長右衛門」で、初舞台も踏み、女優としての第一歩を踏み出してから、めきめきと演技力を身につけてきている。
 アイドル歌手から脱皮し、八十年代の女優として彼女は、いまこのミュージカル「アニー……」でさらに飛躍をめざす。ブロードウェイの初演が、エセル・マーマン、映画ではべティ・ハットン、そして日本での初演は江利チエミが、このアニー・オークリーを演じている。チエミもこの新宿コマ劇場の舞台でやっている。
 桜田淳子にとって、本格的なミュージカルの舞台で、どんな成長ぶりを見せてくれるか。 新しい淳子の魅力≠創りあげていくためにも、大きな試金石の舞台となろう。
 
   和田秀夫(共同通信社文化部)





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