"My Pure Lady" Junko Sakurada

桜田淳子出演 舞台評「ア二ーよ銃をとれ」(新宿コマ劇場)




「読売新聞」

「女優開眼 桜田淳子

 

  初のミュージカル「アニーよ銃をとれ」(25日まで、東京・新宿コマ劇場)に主役で挑戦している桜田淳子が、アイドル、歌手を返上して大変な好演ぶり。同劇場では、十六年前の江利チエミ主演以来のダシもので、当たり役だったチエミのア二ーと比べて、アイドル歌手・淳子のアニーは最初、やや不安視するむきがあった。

 ところが、本番の淳子は一幕目で山ザル娘の演技からくいくい場面を盛り立て、相手役あおい輝彦、ワキ役のベテラン小松方正がかすんで見えるほど。メリハリのきいたせりふ、発声のしっかりした歌唱、演技も自然で見ていて無理がない。

 

目をみはる芸熱心

 

 「これがあの淳子?」と一瞬、目と耳を疑う変身ぶり。二年前、東宝歌舞伎に奥谷川一夫の相手役として出演、それ以来の女優開眼≠ネのである。

 たしかに、淳子の芸熱心は最近めさましい。「アニーよ銃をとれ」の主演が決まったあと、春からはまずモダンバレエに通い、夏に入ると発声の猛げいこ。九月から他の出演者と一緒に舞台げいこに入ったが、他の仕事を極力減らしてほぼこのミュージカル一本にしぼり、十月公演中は百恵がらみの歌番組に二本出たきり。年末年始用の鏡画どりも出演を辞退するという熟の入れようだ。

 百恵が婚約を発表した時、淳子はプロダクション関係者に「わたしは三十まで結婚しないわよ」と、きっぱり宣言した。

 「歌、踊り、芝居と三拍子そろったタレントになりたい」という彼女にとって、ミュージカル主演は頼ってもないチャンスだ。

 「レコードのヒットで騒がれるのと違って、舞台は地味だけどとてもやりがいがある。でも今はまだまだ未熟。一日でもよけいにレッスンの時間が欲しい。新しい職場を見つけた感じです」と燃えている。








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