横浜元町を舞台に、庶民の哀歓軽快なタッチで描いたドラマ。
原案、脚本、演出ともに松木ひろし。十二回。
物語は、父の遺言で家業の洋菓子店を継ぐ決心をした昌平(北大路欣也)が、本場のケーキ作りの業を終えてフランスから帰国したところから始まる。
店は浪費家の母福代(藤間紫)、その内縁の夫犬飼(上原謙)おかげで経営不振に陥っている始末。驚いた員平は、叔父勘介(名古屋章)、その娘邦子(梶芽衣子)から事情を聴き、早速建て直しにかかる。
そんな矢先、栃木から犬飼の娘と名葉るまゆ(桜田淳子)がこの店に押しかけて来て、一波乱が生じる。
ドラマは、タイトルの示す通り愛に飢え、幸福に飢えている者同士が、いたわり合いながら支え台っていく様子がたくみに描かれている。登擬人物が多いわりに、個性性豊かな出演者それぞれのキャラクターが十分に生かされているのは、脚本のうまさか。
なかでも、当分の間は歌手を休んで女優宣言した淳子が、鼻っ柱の強い田舎娘にふんし、重厚な北大路を向こうに回し好演。コミカルな演技がすっかり板に付いた感じである。 (ま)
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