「ほらがい」(1989.12.12)
「特筆すべきは桜田淳子のすばらしさ」
「火の鳥」のヤマト篇やら「乞食と王子」、「幸福の王子」やらをごたまぜにした国性爺合戦で、遊眠社の芝居そのもの。
はっきりいって疲れた。休憩なしとはいえ、二時間十分の芝居なのに、抹消的な才知だけでは持ちようがない。スピードがどうのこうのとか、連発されるくすぐりがどうのとか以前の問題として、唐十郎流のイメージの重ねあわせが散乱するだけで、重ねあわせになっていないからだ。それなのに、まわりの女の子たちは大喜びしていたし、感激して泣いている娘までいた。わからない。
しかし、役者たちはうまかった。
橋爪、ピーターをはじめとして、客演陣も野田の台詞を完全にものにしていて、多分、一二〇パーセント、良さを引出していた。演出者としての野田の力量もあるだろう。
特筆すべきは桜田淳子のすばらしさ。
亡国の妃にすりかわる乞食娘の役だが、本当にいい。
最初、熊谷真美かと思ったが、声で気がついた。
野生的な息吹と、稟とした気品の高さがこの芝居をワンランク引きあげた。
ラストの横座りになって合掌するポーズは神々しい。
野田の書いた台詞をこんなに美しく語ったのは、彼女が初めてではないか。
彼女でシェイクスピァの喜劇をやったら、すばらしいだろう。
結局、駄目なのは脚本だけだ。
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題 名:「野田版・国性爺合戦」
劇 団:パルコ
場 所:セゾン劇場
演 出:野田秀樹
戯 曲:野田秀樹
上演日・1989-12-12
主な出演者
桜田 淳子
池畑慎之介
円城寺あや
橋爪 功
松澤 一之
野田 秀樹
渡辺いっけい他
セゾン劇場
12月24日まで
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