昨年二月に上演したばかりだが、早くも好評再演=B
淡島千景、新珠三千代、遙くらら、桜田淳子の四姉妹が、豪華な衣装を身につけて、それはそれは絢爛たる舞台をつくる。
着物に見ほれた女客のタメ息が、あちらこちらで聞こえる。目の保養。
歴史を誇る船場の木綿問屋蒔岡商店。長女鶴子(淡島)が婿を迎えて、婿の辰雄(近藤洋介)が当主。
次女幸子(新珠)は、貞之介(沢本忠雄)と結婚して芦屋に分家を構えた。
本家にはおとなしい雪子(遙)と、近代的な妙子(桜田)が嫁入り待ち。
妙子には貴金属店のボンボン奥畑啓三郎(大和田伸也)という恋人がいるが、三女の雪子が結婚するまでは……と、鶴子は二人の 婚のOKを出さない。
行動派の妙子はついに、啓三郡と駆け落ちという非常手段に出る。
昭和十二年。のれんを誇った蒔岡商店にも崩壊の時が迫る。
ラスト、桜の下を歩む四姉妹の姿は圧巻。
菊田一夫脚本、堀越真潤色、水谷幹夫演出の冴え。
まさに「桜の園」のイメージ。
淡島の貫禄、新珠のやわらかさ、遙の存在感、桜田の達者さを含めてすべてが好演だが、今回は特に桜田と大和田の大進境をほめたい。初演時よりはるかに役がふくらんだ。
ほかに女中のお春をやる菅野園子が、誇張した演技を邪魔にならずに演じていい彩り。必見作。88点。(I)
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