石崎勝久
こいさん≠フ桜田淳子は昨春、昭和61年度の芸術選奨文部大臣新人賞の栄えの受賞者になった。
文化庁の出している「芸術選奨一覧」の彼女の授賞理由に、こうある。
「ミュージカル『アニーよ銃をとれ』の演技は、優れた女優としての地位を確実に獲得したといえる。また『エドの舞踏会』『十二夜』でもその実力が開花し、今後がいよいよ期待される」。
期待通りに彼女はテレビ『独眼竜政宗』や映画で大活躍、いよいよ実力発揮していったことは御存知の通りだ。
もともとはしコード大賞最優秀新人賞をとったほどの歌手なのだが、根っからの芝居好きが女優へのコースを選ばせた。
昭和53年の初舞台『おはん長右衛門』の好演が芸術祭審査で話題になり、二本目の舞台『アニーよ銃をとれ』ではすんなりと芸術祭個人賞をとった。
いらい『大奥最後の日』『細雪』『リトルショップ・オプ・ホラーズ』と順風満帆。桜の花は満開になった。
芸術選奨女優というのはこの上もない名誉だし、この大物候補女優が、本当の大物に成長してゆくのを、ぼくはいつも楽しみに観ている。
昨年度は映面で受賞、つい先日は『女坂』の演技で菊田一天演劇賞もとった。
ステップ・バイ・ステップの歩みは確実だ。
(演劇評論家)
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