ぼんやりと見る、集中して見る
バスケットボールは視野が広く、多くの情報を捕らえることができ、瞬時に的確な状況判断ができれば余裕のあるプレーができてミスが少なくなります。
マンツーマンディフェンスでは、ボールマン以外の選手はボールマンと自分のマークマンを常に視野の中に捕らえてなければいけません。どんなにシステマティックなディフェンスを指導したところで視野の中に両方を捕らえてなければ動きが遅れてしまいます。また、私はディフェンスで首を頻繁に振ることはさせません。特にピストルスタンスのときには首を固定してボールマンとマークマンを指差して両方が視野に入るよう足を使って移動することを指導しています。首を頻繁に振っているとどちらかが捕らえきれなくなりマークマンを見失って立ち止まる、簡単にフラッシュされる、ヘルプに行くのが遅れる等でディフェンスに穴があいてしまいます。
オフェンスは状況によりますが、ボールマンがパスをさばく場面(つなぎ、合わせ、インサイドへパス、アウトサイドへパス、スローイン、ナンバープレー等)では、ディフェンスを直接見て味方を間接的に見ることができればミスが少なくなると考えています。モーションオフェンスでボールを持っていない者は、ディフェンスの動きと意識を読みながらスペースを見て状況判断をして動かなければいけません。ディフェンスのときより多くの情報が必要ですからオフェンスのときは首を常に振って(きょろきょろして)周囲を見て動くことが重要です。
人間は一点に集中すればするほど周囲が見えなくなってしまいます。通常のプレーでは視点を集中せずにぼんやりと広い範囲を見れることが必要です。
しかし、一点に集中しなければならない場面もあります。それはシュートのときです。シュートを打つときのボールをリリース(離す)する瞬間は周囲に何があろうともリングに対して一点集中しなければならないと思います。ディフェンスにチェックされそうになってもリリースするときに捻ったりかわそうとすると入りません。(場面を想定した練習を繰り返しているのなら別です)たまたまそういったシュートが入っても私は評価しません。ブロックされてもリングに集中して通常の練習どうりの フォームで打つことを心がけます。
その他視野にはいろんな要素があると思いますが、ぼんやり見ることと集中して見ることの使い分けが必要になります。難しいのはぼんやりと見る方です。
先日行われた4地区対抗戦においても、特定の選手がパスをカットされる場面が多くありました。ゲームを決定付ける致命的なパスミスもあり見ていて残念でした。本人も残念だったことでしょう。これから練習してそのような思いをしなくても済むようにしないといけません。パスをカット(インターセプト)されるにはいくつかの原因がありますが、その多くはオフェンスを直接見ていてディフェンスが視野に入っていないために起きてしまいます。パスを取られた選手に今どこを見ていたか聞くとオフェンスを直接見ていたと返事が返ってきます。その場で修正ができれば良いですが、オフェンスを直接見ることが習慣として身についてしまっている以上言っただけでは修正ができません。その習慣を打ち消してディフェンスを直接見てオフェンスを間接的に見ることができるまで習慣付けをしなければいつまでたってもミスを連発してしまいます。
ではその習慣を身に付ける練習をしたところで選手自身が目的を理解して常にディフェンスを直接見るように気をつけなければ意味がありません。指導するには忍耐力が必要です。
ディフェンスを見てパスをさばくことを目的にした練習には、3箇所のサークルにディフェンスを立たせて2メンパッシング、パッシングダウン、2対1等があります。現チームはまだこの練習に取り組んでいないので冬場にやって来春にはミスを少なくできれば良いと思います。