パスランアウェイ

私の選手たちに教えるシステムや約束事はできるだけ簡単にすることを目的にしてきました。短い練習時間の中でしかも選手たちの能力に差がある状況で全部の子に状況判断能力やたくさんのオプションを指導することができないからです。そこに時間を取っているとファンダメンタル等の個人技の練習ができなくなってしまいます。ファンダメンタルを徹底して1対1の能力を上げて簡単なシステムで試合に臨むようにしていました。

そこで、ボールを持ったときパスを出したときに優先順位をつけて指導をしていました。

ボールを持ったら
ディフェンスのプレッシャーが無いとき

1 トリプルスレットに構えて、シュート(3ポイント、ジャンプショット)

2 構えたときに自分よりも条件の良いものを見つけたらパス(フリーの者、シールしているセンター)

3 カウンターのペネトレート

4 スペースを見つけてペネトレート

ディフェンスがプレッシャーをかけてきたらリバースターンしてペネトレート

いずれもできないときにパスを出しますがパスを出したら

1 ボールサイドカット

2 ボディーチェック、カットしようとした先にスペースが無ければ逆サイドにスクリーンかアウエイカット

4アウトでスペースを広くしてボールサイドカットをしたときには県内ではまず止められることなくカットできます。パスをした後でも自分が再度ボールを持って攻めるんだという積極的な気持ちを持たせることも目的として指導していました。
パスを受けたボールマンは目の前をボールサイドカットされると、その後に必ずスペースが空くのでそこを狙ってペネトレートするように指導していました。今年は小さいが機動力があるのでこれをメインにやっていこうと思っていましたが、県内のあるチームと試合をしたときにこちらの動きが完全によまれていると感じることがありました。パスをもらったオフェンスはボールサイドカットした後のスペースにペネトレートするのですからディフェンスとしてはパスが来た方向にディレクションしてしまえば簡単に止めることができます。オフェンスはディレクションに対して逆方向にペネトレートしようとしても今度はボールサイドカットした味方とディフェンスがいてスペースがありません。4メンモーションを練習していましたがその試合まではパスしたら必ずボールサイドカットで連続に動くものをやっていました。パスを何度か回してペネトレートを仕掛けるのですがディフェンスをする方としたらパスが来た方向にディレクションしていれば最終的には止められるのですから簡単だったことでしょう。
ミニバスの強豪チームが上がった中学校でしたが、選手が勝手にアジャストしたのか指導者が読んできたのか分かりませんがこちらのセットオフェンスはまったくリズムが良くなりませんでした。その試合では確かにディレクションされたのですが、タイムアウトでそれでも1対1の練習をしてきたのだからフェイクで崩して攻めるようにしなさいと話をして試合をしていたのですが選手たちはまったく攻め気をなくしてしまい負けてしまいました。その後はスタメンはしばらく試合にでることはできませんでした。(どのチームのどの試合かわかりますね)

そこでしばらく悩みながら、冬時間で練習も満足にできないまま春になってしまいましたが最近になり少しひらめいたことがあります。

それは、パスランアウエイです。パスをしたらその逆サイドへ向かって走ることをそう呼んでいます。今ごろになって分かったかいという指導者の方もいらっしゃると思いますが分かってませんでした。ガックリ
砺波地方の子供たちは内気でおとなしく良い子ばかりでなかなか攻撃的になってくれません。そこで積極的な気持ちを持たせるためにもパスをした後はもう一度ディフェンスを破ってボールサイドカットしてボールを要求するように指導していました。またもう一つの理由にディフェンスを引き付けてスペースを空けるということもありました。ボースサイドカットした選手へパスをしてからのシュートバリエーションの練習にも時間をかけました。でもなかなかパスを通すことは難しいですし、ペネトレートも止められしまうことに壁を感じていました。
そこでビデオや本を再度見ているうちにアウエイしても確かにディフェンスはボールサイドカットよりもひきつけることはできませんがその後の動き方によってより大きなチャンスが作れるてしかもディフェンスには読まれにくい状況を作り出すことが出来ることに気がつきました。

パスを出して逆サイドに行くのですが、そうするとボールマンの目の前は両サイドともスペースが空いた状態が作れます。

そのスペースはボールマンがペネトレートして使っても良いし、周りの者で気がついたものがフラッシュして使っても良いです。アウエイした選手は一旦ボールから離れますがそこでディフェンスが気を抜いたことに気づけばそこへパスして攻めることもできます。ボールサイドカットよりもスペースが広く自由に使うことができます。

図1は、ボールサイドカットです。ボールサイドカットするとスペースは図2のようにストロングサイドに限定されてしまいます。ウイークサイドにスペースを空けるにはカットした者がコーナーへ開くかヘルプサイドまで走りぬくまでしばらく待たなければいけません。その間はウイークサイド側のスペースはボールマン、カットした以外の選手のだれもが使用不能になります。1対1に絶対的な力があるのならスペースの空き方が分かりやすいのでいいでしょうが中途半端な力しかないとディフェンスに簡単に読まれてしまいます。

図3はパスしたら逆サイドへ走るものです。図4のようにボールマンの両サイドにスペースが空いています。ディフェンスがミドルラインに残っていてもペネトレートを仕掛けて引き付けて合わせをするかスキップパスを出せばカウンターの状況が作れます。また、ボールマン以外の選手がフラッシュやシールできます。アウエイした選手がそのままゴールへ走りこんでパスをもらうことも可能です。

図5のようにコーナーへボールを落としたときにはまずボールサイドカットをしようとしますが、カットをしている間はボールの前のスペースはカットマンに占められてしまい回りの選手さらにはボールマンでさえすぐにスペースを使うことができなくなります。そこでアウェイすると図6のようにスペースが空くのでヘルプサイドにいる選手がフラッシュやウイーブして攻めることが可能になります。

センターが固定されているとこのようにはなりませんが、5アウトで攻めるには有効だと思います。これから先のことを考えると今までのようにセンター中心のオフェンスばかりでは勝負しきれないと思われます。

今後はボールサイドカットばかりでなくアウエイカットも有効に使ってオフェンスを組み立てたいと思います。

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