プレスダウン2 (マンツーマンプレスへの対応)
プレスダウン1では、フルコートゾーンプレスに対する対応について書きました。
ゾーンプレスには、スローンの後すぐにボールプレッシャーをかけるものの他、3クオーター(コートの4分の3、ファールライン付近)にボールが近づいてから仕掛けるもの、ハーフライン付近から仕掛けるものがあります。 その他にマンツーマンディフェンスから約束ごとを決めてダブルチームやピンチディフェンス等のトラップ(罠)を仕掛ける、いわゆるランアンドジャンプと
いうディフェンスがあります。
プレスディフェンスでトラップを仕掛ける場合、そのほとんどはボールマンにドリブルをさせるように仕向け、ドリブルでターンしたときやコフィンコーナーに追い込
みながら2線のディフェンスがボールマンに向かっていきプレッシャーをかけミスを誘うようにします。詳細は、戦術練習解説のランアンドジャンプを参照下さい。
そこでオフェンスをやるときにドリブルをするとトラップに捕まるということで、パスだけで運ぼうとするのですがバックコートを8秒で運ぶというルール改正によって、特に脚力のあるチームと対したときパスだけで運ぶのは難しくなってきたと思います。
そこでドリブルをからめて運ぶことを考えるのですが、一番簡単なのはポイントガード(チームで一番ドリブル1対1が強い者)にボールを持たせ、アイソレーション(バックコートに一人だけ残す)してからドリブル1対1をさせることだ
です。ランアンドジャンプは基本的にマンツーマンなのでレシーバー全員がフロントコートに入ってしまえばディフェンスはついていくはずです。バックコートにボールマンとそのディフェンス以外だれもいなくなってしまえばトラップもかけられません。普通のマンツーマンプレスに対しては、これが一番安全確実な運び方だと思います。優秀なドリブラーを育てることが必要です。
しかし、それだけだとディフェンスはトラップ用のディフェンスを残したり、ゾーンプレスに変化させてきます。その場合にはレシーバーが上がってパッシングダウンをやろうとするのですが、その
際、レシーバーとドリブルしてきたボールマンの距離が近くなってトラップにはまってしまうことや、パッシングダウンをしていて8秒ルールをしのぐためにドリブルを使うときがある
と思います。そのときにドリブルが向かってくる2線の選手の動きによってトラップにはまってしまうことがあるので動きの約束を決めておく必要があります。選手にはどこでトラップ
されるかといったディフェンスの仕組みも理解させておけば効果的です。約束ばかりやっていてもディフェンスの動きが読めなければ対応が遅れます。練習ではダミーのディフェンスをつけてやります。
図Aの状態からドリブルを開始することは、ディフェンスにとって一番条件の良い状態です。特に2線の選手が図Bのように縦に下がったときは、
3線のローテーションも簡単で、もっともトラップしやすい状況になります。
そこで、ドリブルが向かってきた2線の動き方ですが、縦に下がらずに図C、Dのように横方向に動くことでトラップに
捕まりにくい状況を作り出すことができます。この2線の動きに対してディフェンスがそのままついていけばドリブルで縦に進むスペースが空きます。2線のディフェンスがピンチに行ったとしても3線のローテーションにつかまることはありません。ボールマンに2人のディフェンスが引き付けられている間にパスを展開できればディフェンスの対応が後手になります。横に移動した2線にパスをだすとき、レシーバーになる選手は必ずボールミートすることを心がけないと読みの良いディフェンスにスティールされることがあります。ボールマンは2人のディフェンスを相手にしてパスを出せる力が必要になります。また、ドリブル1対2等の練習の中でピンチに来たディフェンスが見えたらバックドリブルをしながら、周囲が見えパスが出せる、切り替えして広いスペースめがけてドリブルで突破していく等ができる余裕があればミスが少なくなると思います。これは私がポイントガードに求める最低条件のテクニックです。
ハーフコートオフェンスで合わせの練習をしますが、この原則はバックコートであっても同じことです。ドリブルが向かってきたら真っ直ぐに下がらずに合わせと同じように動くことでディフェンスとずれができ、対応を遅らせ、パスが繋がると思います。フロントコート、バックコート、どこであってもボールマンに対するレシーバーや他の選手の動き、スペーシングの原則を同じであると考えています。