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第19回異業種交流会
「シミュレーションと経営」

日時:平成23年1月23日(日)10:30〜13:30
場所:金沢エクセルホテル東急 5階
会費:2,000円(講演聴講のみは無料)
講師:金沢工業大学情報学部情報経営学科 武市祥司 准教授
演題:「シミュレーションと経営」
参加者数:12名

−講師プロフィール−

東京大学大学院工学系研究科博士課程(船舶海洋工学)修了後、同大学院工学系研究科助手を経て、住友重機械工業(株)に入社、 生産技術者として大型船舶の設計に従事。その後、東京大学大学院准教授を経て、2009年金沢工業大学准教授に就任。 現在は、公益性の高い社会システムに対して、シミュレーションを活用して様々な問題を最適化したり制度設計へ活かす研究をされている。
(一部出典:金沢工業大学教員録より)


−シミュレーションは社会貢献に役立つツール−

 平成23年1月23日、早朝から激しく降り出した雪もすっかり止み時折青空がのぞく中、第19回異業種交流会を 金沢エクセルホテル東急で開催しました。今回は、武市祥司先生(金沢工業大学)を講師として招き、 「シミュレーションと経営」と題した講演を行いました。

 武市先生は、住友重機械工業で大型船舶の設計に携わった経験を振り返りながら、 船舶の生産システムについて説明しました。 「日本の造船業では、実は巨大な生産システムが構築されている。たとえば、25万トンの大型タンカーでは 1,000人以上の技術者が延べ100万時間の工数をかけて建造しているほど。 船体は、この会場ほどある大きなブロックをいくつも組み合わせて形成していく。 各ブロックの位置決めは、ミリ単位の精度を要すため非常に難しい。」

 武市先生は、船体の製造工程を写真で紹介しながら説明すると、参加者の中には真剣なまなざしでスライド に見入る様子や、精度の高さに驚く様子がうかがえました。

 これまでの研究では、造船の設計・生産システムや溶接施工の品質管理など数多くの研究に携わったこと に加え、船体曲面部を加工するような難しい技能を定量化する研究についても紹介しました。 「船体曲面部は一船一船形状が異なり、一般的には50ミリ厚ほどの分厚いスチールが使われる。 これをガスバーナーで加工していき、最後の最後は計算でも詰め切れない部分がでてくるが、これを職人が手掛けている。」 過去の研究は、このような職人芸を解明して技能伝承にも貢献していることがわかりました。

 このような研究実績を踏まえ、「現象をわかりやすく数式化して、定量化することは非常に重要」として、 最近のシミュレーションについての研究に至るまでの経緯を説明しました。

 「最近は公益性の高い社会システムにも注目している。 身近な所では、高速道路での工事や事故による車の流れの変化をみたり、それによる経済効果を算定した。 ETC(高速道路の自動料金収受システム)がまだ今ほど普及していない頃には、料金所でのETCゲートの最適設置数を 調べるシミュレーションを行った。」と説明し、シミュレータを動かして実演してくれました。 次々と料金所を通過する車の中には、レーン変更にとまどったり、巧みにレーン変更して空いている料金所を目指す様子など がよくわかり、そのリアルな動きに参加者からは感心した様子がうかがえました。

 これ以外にも、電力会社の統合オペレーション、書籍の流通販売の効率化、酒類卸配送など、 様々な分野でのシミュレーションの紹介がありました。

 学生指導の点でも、自身の経験を踏まえて「シミュレーションは現象を定量化して検討するためには有効な手段ではあるが、 コンピュータ上だけで完結することなく、現場へ足を運ぶことの大切さも指導している。」と強調し、先生の熱心な教育ぶりも 垣間見られました。 最後に「皆さんの職場でも改善したいことがあったらご相談ください。」と呼びかけて締めくくられ、 武市研究室にはまだまだ面白い研究ネタがあふれ出てきそうな印象を受けました。 この後の質疑応答も、昼食時間に食い込むほど活発に行われ、専門的な質問にも分かりやすく説明されました。

 昼食会では、旬の野菜や肉などを盛り込んだ豪華な料理に舌鼓をうちながら、講師と会員が活発に意見交換したり、 参加者同士で今日のテーマを振り返りながらディスカッションする様子もみられ、盛会のうちに終了しました。

関連リンク:金沢工業大学






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