<<< 『希望への架け橋』 >>>


灼熱の炎が照りつけ 砂塵吹きすさぶ 熱砂の大地
駱駝や羊を飼い 僅かの水を求めて徨う 放浪の民
彼らが徨う砂の下には 古代の遺産が存在する
遥か昔に栄え滅んでいった 砂に埋もれた遺跡の都市が眠る

西の空に太陽が沈む頃 地平線から上に目を移すと
濃い藍が薄い空色へと徐々に薄まり 赤く燃え上がる空が見える
熱の下がった砂に潜り込み その重さで疲れた体をほぐす

砂の窪地に 砂漠の薔薇と呼ばれる 砂が形作る花が見える
それはまだ小さく その砂に薔薇を見るにはまだ遠い
砂漠の薔薇を見た者には 幸福の未来が訪れる
しかし薔薇の成就を見る前には 大きな試練が待ちうけているのだ

砂漠の中に初めて立ち そんな考えが頭に浮かぶ 自分がいる

ベルベットの芳香漂う サテンの夜気の中
銀の月明かりで 自分の黒髪を切る
切られた髪を見つめ 命を弄ぶように嘲笑ってみせる

祭の残り火が消えると同時に 襲いかかる無数の影
狂気と絶望の底で傷つき汚れ 必死に這い上がろうともがく
神の裁きとも知らない この試練を克服し
砂漠の薔薇の 完成の時を迎えるのだ 絶対に

人間の心と同じく とても脆く とても強靭な砂漠の薔薇
運命に弄ばられ 絶望を味わう 人間の心

大地の砂漠 厳しく そして力強く生命が息づく場所
心の砂漠 荒涼として掴みどころがない
しかし大地の砂漠と同じように 力強いと 自分の心を信じたい
絶望の中でも 砂漠の薔薇を見つけ 育み 明日への希望の架け橋とするのだ



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