◇ジカン@チリオモイデバナシデキゴト@チリ◇

=Dias en Chile=

……0725Santiago→Vina del Mal……

 待ち合わせまでサンティアゴをひたすらぶらぶら。大きな通りから小さな通りへと入ってみると、工事現場があったり、小さな食堂があったり、いかにもサンティアゴの気取らない一面が見えてくる。歩いていける範囲だからそんなに遠くへはいけないし、土地勘も怪しいものだから、あくまでも自分のキャパシティーに応じてなのだが、あてどない散策は楽しい。どれくらい歩いただろう。同じところを何度も歩いていることもあった。街の概略というものは、こうやって掴むのが正しいのだろう。地図を眺めていても見えないこと、感じられないことが、3次元、4次元になって突如立ち上がってくる。これこそ、旅の醍醐味。
 東洋人は珍しいのか、時々穴があくほどジッと見つめられる。だが、その眼差しに悪意はない。幼い子供は宇宙人がやってきたみたいな表情をする。ニコッと笑いかけると、ますます怪しいだけか。
 ふと表通りに面したCDやさんに入る。これじゃ日本と行動パターンが変わらない。そういうことのできるサンティアゴだと思ってなかった。ラインナップはやっぱりChileだ。というより紛れもないラテン‐アメリカの一国である。
 出発の時間が迫っていた。ホテルに戻って荷物を取りにいかなきゃ。街角のパンやさんで、カスタードのパンとガス無しのアクア(水)を買った。それをなぜか地下鉄のベンチで食べる。たぶんサンティアゴの女性はそんなお行儀の悪いことはしないだろう。もっと場所を選べばよかったかな。あまり適当な場所が思い浮かばなかったのだ。。。
 ビーニャ・デル・マルへのバスは、サンティアゴ大学駅からすぐのバスターミナルから出ていた。ここで松岡さんと合流。バス遠足の児童のように、席に座るなり、窓の外をじーっと見ていた。ありのまんまのチリを焼き付けようと思って…。さぞかし可笑しかったんじゃないかな。「?」と思ったら、答えてくれる人の存在はなんとも有難かった。

 ビーニャ…では水産関係のスペシャリストとして当地に住んでいる石田さんを訪ねることになっていた。到着したのは陽も傾きかけた頃。今日は夕焼けが綺麗だろうと思わせる空をしていた。そもそも、ビーニャ…では、石田さんに会うこと以外、空白だった。それでも、空を見ていると、水平線に沈む夕陽は見たいなぁと思った。

 さてConcon方面へのバスに乗って海岸沿いの風に吹かれる。左手に続く水平線はなんとも淡い色に染まっていた。暮れていく…暮れていく。ふと砂浜の真ん中みたいなところでバスを降りる。少し歩いているうちに夕陽は隠れてしまったが、辺りはまだ明るい。砂浜…波と戯れる。寒流のため、海の水は夏でもすこぶる冷たいという。今は冬。打ち寄せる波に手を浸す。「!冷たい!」と思った次の瞬間…春の訪れを思わせるあたたかさみたいなものを感じた。ホントに寒い冬の海は地元の日本海でイヤというほど知っている。ちょっぴりなめてもみる。これがチリの海の味と…。視覚や聴覚に比べて味覚というのは、残像化させにくい。美味しいものを食べた後、美味しかったなぁという感覚は写真やテープのようにとってはおけない。いわば一期一会の感覚。チリの海の味もそんな感覚で受け止めるしかなかった。何度も波を追ったり、追われたりした。気が付くと、そこは夕陽の残光が放つ幻想的な雰囲気に包まれていた。犬を連れた老紳士や家族で散歩する人たちの姿と重なって、夢じゃないかと何度も思った。少し歩いて、遠くで波が飛沫をあげているのを。ぼーっと眺めていた。気が付くと星がちらりほらり瞬いている。海に向かって左手の低い空に南十字星。どうみても星が3つしか見えない。右肩の星の光が弱かったためだが、眼をこらして見ると確かに…!初めて見た。南半球にいることを改めて実感。そのことがただただ嬉しくって、チリに来てよかったというキモチがゆっくりと静かに膨らんできた。
 帰りにスーパーマーケットに寄ってワインやお惣菜を調達することに。しかしちょっと寄ったつもりのCDやさんで、どうしても「チリの音楽」が欲しくなり、いろいろ試聴した挙句、INTIillimani「GRANDES EXITOS」を!
 今宵の宴は、石田邸で!海辺の高層階にあるため、すこぶる夜景が美しい。100万ペソの夜景(約20万円位…安すぎる?)とでも言おうか?さてと、石田さん、さすが御仕事柄!と感動したのは、なんと筋子やお魚の醤油漬を肴に出して下さる。さらに、私たちが連日連夜の美食で胃がヘビーと言うので、貴重な日本食品、梅干しまで食卓に並ぶ。食が進まないはずがない。勢いあまって飲んだ!飲んだ!「MOLINA」(チリワインの中では一押しと二人のお墨付き!)に日本酒。。。さらにはピスコを秘蔵の南極の氷で割ったりと…。夜も深まるとお待ちかねの「サルサの帝王」石田さんによるダンスレッスンに!初心者の私のために、まずは比較的踊りやすい「メレンゲ」から。とにかくくるくる回るこの踊り、お酒と相成って本気でくるくる回った。体も回ってはずだけど、もっと回ったのは目…というか頭の中である。あぁぁ@-@こんな感じである。

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