◇ジカン@チリオモイデバナシデキゴト@チリ◇

=Dias en Chile=

……0726Vina del Mal+Valparaiso……

 朝起きると、石田さんは仕事に出ていた。二日酔い、睡眠不足、風邪…の三重苦なのに、本当にごくろうさまだと思う。今日はビーニャ・・・近くのバルパライソへ。っと、その前に両替を思い出す。残金僅か。我ながら間の悪さにあきれる。
 バルパライソ・・・小高い丘の急傾斜面に家々がびっしりと建ち並んでいる。どこかで見たような、しかし世界中でたった1つのまちなのである。その家一つひとつに、それぞれの暮らしが詰まっている。自分を建築に向かわせたのは、こんな風景なのではないかと思ってしまう。

 このまちでの市民の足は「アセンソール」という、いわゆるケーブルカー。そのアセンソールに乗って、丘の中腹までのぼり、港を見渡せるカフェに入る。人々のさえずるようなおしゃべりがBGMになっている、感じのよい空間だった。マリスコス(海産物)の温かいスープとサラダ、それに生ジュースを頼んだ。ほんとにチリでは美味しいものに恵まれている。今までの旅での食生活が貧困すぎたのかもしれないけど(笑)

 カフェを出ると道端のベンチに老夫婦が寄り添うように座っていた。二人で時々コトバを交わしながら静かな時間を過ごしている。。。こんなふうに年を重ねていけたらいいなぁ。。。そんな光景がふとその辺に転がっているバルパライソが、ますます素敵に思えた。
 それから、まちなみをぶらぶら。「青空美術館」といって壁面にアートを施した企画を散策がてら楽しむ。いわゆるまちがアート状態。サンティアゴの美術館でも観たロベルト・マッタの作品などが煉瓦の壁面に描かれている。ふと小道にあったモダンな壁画によりかかって本を読んでいる青年に眼を奪われる。壁画と一体となって何かのインスタレーションを観ているかのようだった。彼にとって壁画というのは、日常空間のひとつ。暮らしとアートに境界線はない。近頃では何でもない暮らしの中にもアートは見い出せるんじゃないかと自負している。生きているそのものがアートとも思える。

 多くのものを求めるとキリがないけれど「このままでもイイでしょ」と思わせる何かがある。ありのままの生活、生き方、なんでもない暮らし。
 チリに暮らす青年ととにかく異邦人の私がバルパライソをそぞろ歩く。スタンスは違うけど、このまちはありのままを受け止めてくれる寛容さがある。自然に生きる心地よさみたいなものを求めたくなる。とりたてて飾る訳でもないが海に向いて構えている家々を見ると、どっこい生きているという気がする。
 選んでココに住んでいる人もいるらしいが、ココに生まれたからココに暮らすっていう当たり前の生き方…何でもない暮らしが、いとおしくもあり、かっこよくすら思える。

 胃が重い…今宵は質素に決めよう!と思いきや、石田邸にたどり着くと、ビーフシチューが!!そしてこれまた特上の「cono sur」でサリュ〜☆
(^_^)/□☆□\(^_^)…荘厳でかつ華麗。ワインの正統派。深い森の香りとでも言おうか…。昨日の今日とあって、静かに夜はふけゆく。今日の夜景はゆらゆらと揺れているよう。
 そして気になっていたテーブルの上のホームページ作成本。石田さんは、私たち二人がHPオーナーとあって、かねてから作ろうと思っていたHPを今宵作らずしていつ作ると、真剣?である。言い尽くせぬ数々のホスピタリティーを、せめて、こんな形でお役に立てたなら…と、ワインもサルサもそこそこに奮闘。(ほとんど松岡さん!私はココでも邪魔をしていた(笑))またしても午前様となり、眠りに入ったのはいつのことやら。
 なのに翌朝、石田さんは物音ひとつ立てずに(気付かなかった…)仕事に出かけていった。「ありがとうございました」と直接言うことも出来ず、失礼ながら、お礼の言葉を残しておく。

∴∵∴BACK to Data+Diary Chile∴∵∴