これはインドのかたち!
 
 
 
 
 


 
 

バラナシでの貴重な一枚の写真。
実はインドで撮った写真がほとんどない。
聖地にレンズを向けることができなかった。

だけど、今でも
8ミリフィルムみたいによみがえってくる。

はじめて河をみた瞬間。

細い細い路地ですれちがった牛の後ろ姿。

小さな店先でたたずむ老人。

熱々のサモサを歩きながら食べたこと。

朝靄の中、祈りをささげる人の表情。

ガートでじぃーっとうずくまっていた
死を待つのみのサドゥ。

命なき体から細々と放たれる炎と煙。

たゆまぬ河の流れ。

河底に積層する命の証

人の生の尊さ。
 
 

「ココに居る…生きている」
そんな感覚が生まれて初めて
湧き上がる。

今でも時折、
ココロのフィルムをひもとく。

『生きる』ことだけを考えてた時があった。

どんなことがあっても、
生きていくことは
それだけで十分すばらしい。