"My Pure Lady" Junko Sakurada
桜田淳子資料館 新館
淳子日記 ダイアリー






★  昭和47年(1972年)の日記  

  


  47年初恋ではないけれど。はじめて真剣に恋をした年……感じやすい秋田時代、そして上京。
  やっぱり子供だったみたい、この頃。中1、春、3月〜(もうすぐ中2……)
 
 



4月14日(金)晴
  4月14日、4月14日、14日、14日。
  アッ、そういえば、4月14日は、この私の誕生日である。
  人に「おめでとう」と言われて、やっと気がついたのであった…。
  今日はクラブ紹介もある…、とにかく忙しかったので、ついてない事ばかりだった。
  しかし、放課後、友達を通じて武雄君がプレゼントを私にくれたのだ。
  この時の気持ちなんとも言えないくらいであった。が、私はすでに武雄君をあきらめきっているのだ。
  このまま、武雄君からプレゼントを受けとってしまって良いであろうか。
  中身はもう見てしまった。
  どうすることもできない。
  これはもらっておく事にしよう。
  そして、明日返す言葉は、どう言ったらいいのだろう。
  どうしたら!と……。
     



4月16日(日)晴
  数日前から、イライラしてならない。それはテレビの事である。私が「スター誕生」に出たい!
  という事で、自分でハガキを出したのだ。
  いまの私の心境は、テレビに出たくてしようがないのだ。
  予選は、どうも秋田らしい。
  それが、ハガキを出したのに予選の通知が来ない。
  おかしい。どうも、おかしい。
  今の私は、バンドを背に思いっきり歌いたいのだ。
  歌うだけならいくらでも歌える。
  しかし、私は、バンドを背にして歌いたいのだ。
  これが私の最大の願いなのだ。
  ああ、歌いたい。歌いたい。毎日、あきるだけ歌いたい。
   


  若き青春に花をそえるつて
  木村君と交際すること?
   
 



4月17日(月)晴
  今日、兄さんが「淳、今日、おもしろい事あるょ」って言ったんだ。
  だから、私、楽しみにしてたの。
  そうしたら、二階へ上がってみたら、もう、どうにもこうにもなんないほど、私泣いたわ。
  兄さんは私の日記を見たのだ(私が誰にもみせたくない、大事な大事な日記を…。
  どんなに私が腹をたてたことか…。もう「この日記を書く」という事が恐ろしくて。
  日記の中には兄の手紙が入っていた(私はそれをみて、自分がどれほどつまんない人間にみえて来たかわからない。
  「淳、日記みせてもらった。(日記くんにありがとう)お前もだいぶ悩んでいるようであるがもう少し自分を見つめたまえ。自分を信頼できぬ者は、他人をも信頼できぬ。友を思い、自分をも思い、若き青春に花をそえたまえ。友と信頼を同じに思っているようであるが、お前の年ではまだわからない。「信頼」のかわりに「見つめる」という言葉にかえてみると良い。兄より」
  兄はこう書いていた。この先の言った事が、私は深く身にしみてならない。
  今まで一緒にいた兄さんとは違った兄さんみたいでならない。
  兄さんは、私に、こんな良い事を教えてくれた。
  そして、私の学生生活に花をそえてくれた。こんなに良い兄さん、兄さんは私の信頼できる人だ。
  そうだ。私には、もう信頼できる人がいる…。
  私は、信頼のかわりに、見つめるという言葉にかえてみると良い、という事がよくわからない。
  だから、私は、この意味を解決していくために友を思い、自分をも思い、若き青春に花をそえていこう。
     



4月27日(木)晴
  新入生が入って釆て、早や1ヵ月。演劇クラブに入って来たた人もいる。
  もう、私は後輩たちから「先輩、今日、クラブある?」「先輩、先輩」と、まあこんな調子で呼ばれている。
  もう、こっちが恥をかくやら何やらで困ってしまっているところだ。
  でも、やっぱり「先輩」と一言呼ばれるだけでも良いもんだなぁ。
  気持ち良いもんだなぁ。
  「先輩、先輩」と言うこの1年生達がなんかあどけなくて、かわいらしい感じがする。
  たった1才違いであるが…。
       



5月21日(臼)くもり
  とっても嬉しい日だった。
  それは、木村君に会えたからでもあるし、私にとって命くらい大切な事にも関係あるの。
  それは、歌…なの。
  今日、私が、いつも出たい出たいと言っていた『スター誕生』を見ていたら、白い文字で、秋田地区のスター誕生の予選会があるから、ハガキで出すようにって…。
  私、もう、そん時は胸がいっぱいで、ハレツしそうだったわ。
  よ〜し、私、やったるぞ〜もういちど。さっそく、ハガキ書く事にするわ。
  ピッポ、私、命にかけても、絶対に、絶対に、『スター誕生』に出てみせるからね。
  よ〜し、歌の練習、歌の練習。
   



6月12日(月)
  学校で問題があって、いろいろ悩んだ日。
  こんなに悩んでいる時に、うってかわって、家に帰ったら、『スター誕生』の予選会の通知が来ていた。私は、飛んではねて、喜んだ。
  よーし、きっと、予選に合格してみせるぞ。きっと…。
     



7月8日(土)雨
  明日は、いよいよ『スター誕生』の予選、ガンバラなくちゃ。
  絶対、がんばって、受かってみせるぞ〜。
     


  「スタ誕L秋田大会に合格
  でも、母さんが心配そう
 
   



7月9日(日)くもり/晴
  ついに来た、『スター誕生』の予選が。
  会場に行ったら、なんと予選に出る人が6百人ぐらいもいたのだ。
  私は胸がドキドキして、もう大変だったわ。
  1次予選に通過して、いよいよ2次予選。
  無事、2次も受かり、19日の本番に出る事になったの。
  うれし〜い。
  ほんとうに、涙が出るほど、今は嬉しい。
  それに欽ちゃんにも会って、握手したの。
  よかった。よかった。
  さっそく、明日、彼に教えようっと。
   



7月18日(火)
  いよいよ、明日は「スタ誕」の秋田大会。
  淳子、がんばるりよ。
  だって700人の予選、勝ちぬいたんだもん。
  でもお母さん、心配そう。
  まかしといて、お母さん。
     



7月19日(水)
  バンザーイ、573点。
  会場から500点、審査員から500点、合計、
  1000点満点のうちの573点よ。
  びっくりしちゃった。
  淳子ってスターになるかもネ。
  今日、会場の外で、ある女性にふと声をかけられたの。
  「がんばってネ」って。
  最初、悪いプロダクションの人かと思ったの。
  そしたら、誰だと思う?
  審査員の阿久悠さんの奥さんだったのよ!!
  大笑い!
     



7月20日(木)
  母さんと口げんか。
  だって、プロ歌手になるなんて、ダメ。
  だから決戦大会は東京に打っちゃいけないって。
  歌が好きでたまらないJUNKOは、どうしても決戦大会へ行くのです!!
  クラスメートが集まってくれてお祝いを言ってくれました。
  友だちのためにもガンバらなくっちゃ…。
   



7月21日(金)
  夏は暑くてイヤ!
  でも決戦大会があるから、9月まで身体をこわさないように気をつけなくっちゃ。
  ア〜ア〜ア〜
  淳子の声はとっても好調なのです。
   



7月22日ハ土)
  今日、彼から手紙が届きました。
  ショック!!
  淳子が『スタ誕』でうかって、決戦大会に出るようになったせいでしょうか。
  淳子がだんだん僕から遠くなっていくっ…て。
  いやだ!いやだ!いやだ!
  私はそんなつもりで『スタ誕』に出たんじゃない!!
  ああ悲しい、悲しい!
  ヽヽヽヽヽ
  今日一日、つまらない!
    君はだんだん僕から遠くなる!
  さようなら、淳子ちゃん!!
     



7月24日(月)
  ヽヽヽヽ
  ゆーうつ。
  ヽヽヽヽ
  もうどうしょうもなくゆーうつ!
  何度も何度も、彼からの手紙を読みかえす!
  淳子、東京へ行かない方がいいのかしら。
  でも決戦大会!
  そうだ、落ちればいいのね。
  でも、どうせ受けるなら……。
  あ……、ゆううつなJUNKOで〜す。.
     



7月30日(日)
  ショックで日記を書く気がしない。
  もう毎日、彼のことばかり!
  本当は私のことキライになったのかしら…。
  もう淋しくて、淋しくて、……
  JUNKO! どうしたの! 涙なんかためちゃって……
     



8月1日(火)
  あんなに楽しかった毎日だったのに
  今はもう帰らない日々……
  風船みたいにふくらんだ恋が
  風船みたいに早く飛んじゃって
  追いかけても追いかけても
  もうあの日はもどろうとはしない……
  かえろうとはしない……
  やっとしあわせになれると思ったのに〜1〉1
  やっと恋が笑ったと思ったのに……
  風船みたいに早く飛んでいっちゃうなんて
  今ごろ風船はどこに行っているんだろう
  帰らない恋……
  飛んでいってしまった
  風船みたいな恋……
     



8月4日(金)
  ほほえむことを忘れちゃいけない
  涙は今もこぼれているが
  すぎてしまえば
  夢と同じさ……
  思い出しちゃいけない
  悲しいことを……やなせたかし
     



8月5日(土)
  もう、JUNKOは負けない!
  彼から手紙も来ないけど…。
  淋しがっていちゃ、いつものJUNKOじゃない
  明るくて、ほがらかで、誰にでも好かれる淳子!
  だって、それだから、みんなと仲よくできたんじゃない!
  JUNKO!元気ですから安心してね。
  私は鏡にむかって叫ぶのでした。
   



8月7日(月)
  なくしたもの
  みずいろのクレパスをなくしました。
  だから大好きな海がかけないのです。
  きいろいクレパスをなくしました。
  だから
  大好きな花がかけないのです。
  いつのまにか、白と黒だけが
  残ってました。
  白と黒だけでかけるのは
  あの人とわたしの
  愛の弔いだけです。
  詩集半分愛して≠謔
     



8月10日(木)
  賢い!何しろ淳子は暑いのが苦手。
  毎日、こう暑いとたまらないので〜す。
   



8月11日(金)
  暑くてダラけているJUNKO。
  日記もこれでおしまい!
     



8月12日(土)
  今日も宿題をやるのを中止。
  残暑見舞の葉書を出してみようかな、彼に。
  でも、やーめた!
  もし返事が来なかったら、淳ペーかわいそうだよ。
   



8月13日(日)
  マッチのように燃えた恋
  だからすぐ消えてしまうのね
  もう少しマッチが長けれは
  もう少し炎が大きけれは
  私の恋ももう少しの間
  あの人をひきとめておけたのに
   



8月15日(火)
  父さんから、今日は終戦記念日と聞いた。
  古い記念日らしい。
  平和の日とか、原爆禁止の日とか、名前をかえればいいのに。
  もっとも祝日になったとしても、夏休み中だからJUNKOには、あまり関係がないけれど…。
   



8月20日(日)
  今日、午前中、少し勉強!
  歌の勉強はもちろん、数学も英語も…。
  JUNKO本気だせば、すごいんだから…。
  もう決戦大会まで2週間もない!
  がんばって、JUNKO!
  応援してね!みなさ〜ん!
     



9月4日(月)
  いよいよ、あさってが決戦大会。
  ちょっとJUNKO、ドキドキ。
  明日、両親と東京へ…。
     



9月5日(火)
  東京へ。
  後楽園ホールへ両親と下見。
  人もいっぱい入るし、明日が楽しみ。
  もし落ちても、東京見物できたからいいワ。
  母さま、まだ歌手になるの反対みたい。
   



9月6日(水)
  やった!JUNKO、すごいんだから。
  全プロダクションからスカウト!!
  桜田淳子さん!第4代グランドチャンピオン!!
  森田健作さんともあえたし、うれしくて、うれしくって……。
  これで秋田にも堂々と帰れるワ。
  みんななんて言うかしら…。
     



9月8日(金)
  目にものもらいができちゃって…。
  きっと、喜んでくれたのね、私のまぶたちゃん!
  でもうっとうしくてイヤ!!
  東京のプロダクションの人が入れかわりたちかわり私の家へ。
  まだ母さんが言ってるの、
  「私は芸能界には入れたくないんですよ」だって。
  もういいかげんに、賛成してくれたっていいのに。
     



9月10日(日)
  今日もまたプロダクションの人が…。
  さすがのJUNKOも少し不女!
  だって私みたいなものでも歌手になれるのかしら
  売り出しは派手でも、すぐにダメになっちゃう人の例もあるし……、
  ちょっぴり心配だなあ。
  今まで夢にまで見た歌手になることが、現実に目の前にぶらさがっているんですもの。
  JUNKO、少しおくびょうになっています!!‥
     



9月12日(火)
  あなたの歩く道ばたの
  私は小さな花になりたい
  まいにちまいにち
  あなたの足音をたのしみに
  いっしょうけんめい咲いていたい
  いつの日か
  あなたが私に気がついて
  たちどまって
  つみあげてくれる
  その日まで
  私は名なしの花でありたい
   



9月15白(金)
  東京に行くことに決まりそう!
  母さんもやっと納得したみたい!
  歌手になるってこと、こんなに大変だと思わなかった。でもJUNKOガンバルワ!
  秋田のみんなも応援してくれるはずだし……。
  フレーッフレーッJUNKO
   



9月20日(水)
  今日、学校で彼に会いました。
  「元気でやれよ」って……
  JUNKO、泣きそうになったけど……
  「はい」って言ったの。
  もう彼の顔を見れるのも何日もない。
  ごめんね。
  淳子は立派な歌手になって、また彼とあいます。
  それまでサヨナラサヨナラ大好きな人!
   



9月25日(日)
  いつのまにか仲なおりしてしまう
  いつのまにか笑いだしてしまう
  若いから
  転んだってへいき!!
  泥だらけになったら
  つめたい水で洗えばいい!!
  道をまちがえたら
  もどればいい!!
  何度でも何度でも、こわがらないで
  跳んでみよう
  あきらめないで、追いかけてみよう
      


  うさぎおいしかの山
  小ぶなつりしかの川
 
   



10月3日(火)
  サンミュージック!!
  森田健作さんのいるところ!!
  私の所属先!!
  ついに、私のスタートがきられます。
  母さんも、素直に「がんばりなさい」って!
  すぐにも東京に行きたい。
  そして歌いたい!
     



10月5日(木)
  明星で森田健作さんの写真を見た。
  この人が私の兄貴分。
  そう考えると夢みたい!
  だって、いま私は秋田西中の中学生。
  森田さんなんて遠いスターだったんですもの!
  JUNKOも早くスターの仲間入りをして、秋田にもどってきたいナ。
  そうすれば、友だちも、あの桜田淳子とは西中で友だちよなんて言えるでしょうから!
  でも、森田さんてステキ!!
     



10月10日(火)
  今日は体育の日。
  別名、目の目。
  JUNKO、目が悪いから不安だなあ。
  よく、テープをぶつけられて目を悪くした歌手の人がいるけど、JUNKO、何も見えなくなったらどうしよう!!
  ゆっくり休んで、目を大切にしたいな。
  めがねをかけた歌手なんてはやらないものねえ!
   



10月21日(土)
  今日の最後の音楽の時間、淳ペーは教科書の中から1曲歌わされたのです。
  歌い終わった瞬間、熱烈な拍手!!
  とっても感動的!
  うれしかった淳子!
  ありがとう住吉さん!
     



10月23日(月)
  放課後、2組の教室は大変!
  「がんばってェ」の大声援!
  JUNKO、ひとりずつ握手をしてまわったのです。しょう子ちゃんたら、ガッチリと私の手を握 ったりして……、
  寄せ書もくれました。
  「日本一の歌手になってね」
  「大スターになるんだぞ」
  さすがの淳子もちょっぴり涙……。
  きっと立派な歌手になります!
  ありがとう、みんな!!
   



10月25日(水)
  午後10時40分発の特急で、秋田から東京へ。
  友だちみんな駅に送りにきてくれました〕
  上り1番ホームでみんなと歌った「ふるさと」が
  JUNKOの胸をしめつけました。
  うさぎおいしかの山
  小ぶなつりしかの川
  ………
   



10月26日(木)
  東京に出てきました。
  あこがれの東京!!
  今日、サンミュージックヘ)ごあいさつ。
  社長の相沢さん、制作部長の福田さんにあった。
  とてもやさしそうな人なので安心!!
  今日から大森のおばさんの家に厄介になる。
   



10月28日(土)
  いよいよ本格的レソスンがはじまりそう!
  曲は中村泰士先生。詩は阿久悠先生。
  どちらもこわい先生!
  どうかよろしくお願いします!
     



11月1日(水)
  秋田西中から品川中学に転校。
  為んなジロジロ見るので恥ずかしかったけど、す
  ぐ友だちもできた。
  さあ、東京にも少しなれたしガンバレ淳子!!
   



11月3日(金)
  今日は文化の日でお休み。
  福田さんから、これから、テビューまてのスケジュールの話があったワ。
  とてもつらそう。
  私に出来るかな〜。
   



11月5日(日)
  今日は疲れたので、お休み!
     



11月10日(金)
  銀座ヘアーツの買いもの。
  1Fが普通、2Fが高級品の店に入ったの。
  はい!JUNKOはどっちへ入ったか?
  もちろん2F、
  仕事のためだもん。
  8000円の高級ブーツを買ったワ。
  福田さん、ビッグリ!
     



11月12日(日)
  東京は人が多くてイヤ!
  中には、ステキな人もいるけれど。
  今日は東京についてJUNKOの意見を出します
  1人数が多いため、人に無関心。
  2商売上手で抜け目がない。
  3太陽の輪かくがはっきりせず、夕日が大きい。
  4遊ぶことに不自由しない。
  5JUNKOがスターになる所!!
   



11月15日(水)
  泣いちゃった淳子!
  中村泰士先生のレッスンで。
  だって、なかなかうまくいかないんだもん。
  でも、先生のレッスンがきついからじゃないの。
  私自身、自分がなぜか、何度やってもまちがえちゃうから……。
  JUNKO!どうした天才少女!
  西中のみんなが笑うぞ!
  がんばらなくっちゃ!
     



11月20日(月)
  レッスンきびし〜い!
  でもJUNKOは負けません。
  一人前の歌手になっても、このくらいのきびしいレッスンに耐えられなければ、本当の歌手にはなれっこない!JUNKO毎日ガンバルので〜す。
   



11月25日(土)
  今日からレコード店まわり。
  朝1番の新幹線で名古屋へ。
  白い帽子はどこでも人気。
  JUNKO大いに満足!
  福田さんはそんなに若くないから、朝早いのは大変だろうな。
  JUNKOちょっと心配。
     


  人は別々の道を歩むと遠くなる
 
ほんとに彼の言う通り
     



11月27日(月)
  今日は大阪へ。
  レコード店の人、たいへん親切。
  もしかしたら、淳ペーは人気歌手になるかもしれない!!
  そしたら、映画なんかに出ちゃったりして!!
  西中のみんな、どうしているかなあ。
  彼からはもう手紙もこないし……。
  やっぱり、別々の迫を歩きはじめると、遠くなっちゃうんだな。彼の言う通り!
  早く有名になって、秋田へ帰ろう!
  それが1番!
   



12月1日(金)
  はじめての雑誌撮影でした。
  明星にJUNKOがのるのです。
  淳ペーは白い帽子をかぶって、ニッコリ。
  編集の人(だれだか名前忘れたけれど)にいろいろインタビューされ、とてもうれしかった。
  でも、撮影って、何枚も写真をとるんです。
  記念写真みたいにバチッと1枚だけかと思っていたら、ガシャガシャ、そう百枚ぐらいかなあ、いやもっとかな、何でもずい分とっていました。
   



12月4日(月)
   花が好き
   風が好き
   歌が好き
   夢が好き
   あなたが好き
   この人生が好き
   ふたりして歩く
   この道が好きです
     



12月10日(日)
   もし 魔法が使えたら
   私はステキなお姫さまになって
   あなたの所へ行きたい……
   あなたはお城の王子様……
   私はとなりの国のお姫様
   まっ白なドレス着て
   まっ白なくつはいて
   そして王子様といっしょに踊るのです
   その日の私は夢見るお姫さま
   きれいに着かざったお姫さま
   あなたに「きれいだよ」 って言われて
   それで私はとっても幸せ……
   とっても……
   私はきれいなお姫さま
   魔法を使ってなったお姫さま
     



12月12日(火)
   今日も地方へキャンペーン。
   『スタ誕』 ってたくさんの人が見ているのねえ!
   驚いちゃって何も言えないワ。
   特に音楽関係の人は、あっ桜田淳子だって、すぐわかっちゃうみたい。
   白い帽子のせいかな。
   取材の申しこみも来はじめたらしい。
   まだレコードは2ヵ月も先なのに、宣伝ばかり先に行っちゃって、少し心配!
   JUNKO! はたしてヒット歌手になれるのかしら……
     



12月15日(金)
   ちょつぴりゆーうつ
   秋田の彼に恋人がいるというニュースが耳に入ったの
   しかたがないワ もう遠い人だから……
   かがみよ かがみよ かがみさん
   私だけにそっと教えてちょうだい
   彼の好きな女の子を
   かがみよ かがみよ かがみさん
   どうしても知りたいのです
   ね おしえてちょうだい
   彼が恋した女の子を……
   彼が恋した女の子ってどんな子?
   やさしい子?
   かわいい子?
   ロング・ヘアーの女の子?
   おぎょうぎのいい子
   ねぇ そう?
   そうだったら 私ショック
   だって……ぜんぜん……やさしくないし
   かわいくもないし…… ねッ
   でもいいの……
   ねえ 教えて!!
   彼の好きな女の子を!
   じゅんこはおてんばで まけずぎらいで
   おぎょうぎが悪くって
   ショート・ヘアーで
   おまけに
   ぜんぜん女の子らしくないんだ
   もっともっとすなおで
   いい子にならなくっちゃね エへへへ
     



12月29日(金)
   いよいよ、混乱の昭和47年も終わりに近づき、
   希望の時、昭和48年がもうすぐそこ。
   今年はJUNKOにとって忘れられない年。
   きっと、来年そうそうのデビュー曲をヒットさせ、
   今年よりもっといい年にしたいと思っています。
   今年は、歌手のチャンスをつかんだけれど、彼を
   失ったから1勝1敗……。
   



12月31日(日)
   いま、テレビでは紅白歌合戦のまっさいちゅう。
   小柳ルミ子さん、すごくきれいだったし、歌も上手だった。
   JUNKOも早くこの紅白に出てみたいな!!
   それには、まずデビュー曲をヒットさせなきゃ!
   どうか神様、来年はいい年でありますように。
   苦しい時の神だのみ……。
 


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