<<< 『風の記憶』 >>>


あれから どうしたんだろう
目の前に 荒涼とした風の世界が 果てしなく広がっている
振り返ると 暖かな風に揺れる草花 小鳥のさえずり 青い空を走る白い雲

行かねばならない道 気がつくと見つめていた先
空と大地が交わる果て 風が渦巻く 虚無への入口
古びた風車が ぽつりぽつり無数に 待つものもなく 虚しく回っている

カラカラ・・・ カラカラ・・・ ラララ・・・ ラララ・・・

風車が奏でる風の音に引き寄せられるように 前へ踏み出す
冷たかった心が 次第に暖められてゆく

風雨に削られた痕もみえない なめらかな風車の外壁に触れる
気が遠くなるほどの記憶が流れ込み 気持ちが満たされる

建られた時代も忘れ去られ あるじもとおになく
ただ記憶だけが 永遠に受け継がれ 未来への記憶も繰り返される
ここに存在する風車のように 無数の記憶が回りつづける

カラカラ・・・ カラカラ・・・ ラララ・・・ ラララ・・・

真実の果実 蒼空の一滴が見えたら 風の扉を開けて飛び込もう
明日へとつながる 記憶の道へと取り込まれ
永遠に思い出すこともない 新たに続く記憶の旅へと

今一度 過去を振り返りたい 感じたい
ここへ来る前 存在した自分という記憶
繰り返される歴史 目の前にある風車の羽のように巡り回る

カラカラ・・・ カラカラ・・・ ラララ・・・ ラララ・・・

この世界と時を同じく 創世された時の彼方に 時の風が記憶を刻む



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