<<< 『氷の息吹』 >>>


周期の終わりに 北から押し寄せる 白の世界
その気を感じた時には 活きるものを閉じ込め
薄く大地を覆い 大気を清浄する 氷の覇者

命あるものは 微かな暖かさを見い出し 次の生命への尊さを知る
無機のものは 尽きることのない 小輪廻を刻みつける

氷の覇者が栄華を極めるとき 光り輝く世界を生む

天からの使者であるそれは幾度も姿を変え 青の舞台を演出する
宙に無数の分身を放ち 活きるものを彫像と化し
日の力を借りて 塵が舞い踊り 天への柱を建造する

地に下りた氷の覇者は 山々を大地を 駆け巡り
地の底まで 解かすことのできない 永久の土で固める
高峰から大海へと脈動し 支配の輪を広げる流れ
解き放たれた 氷の矢は 新たな岸へ流れ着き 支配を獲得する

幾度となく繰り返される この白の世界を しもべとする
果てにある中心から広がる 氷の世界
幾万の時を重ね 時代を封じ込める 時の貯蔵庫
日に触れることなく 深く深く眠る 原初の大地
終焉の瞬間まで 眠りつづけるだろう

今は深く長い 眠りの時間
やがて宙高く舞い上がるため 試練を課す
氷の息吹が 身体を引き締め 力を蓄える

いつか飛び立つ外界を夢見るため 試練を遂げる
氷の息吹が 身体を吹き抜け 智を授ける

そして 氷の息吹が 精神(こころ)を満たし 生への喜びを与える



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