29MHzと144MHz/430MHzの比較



●勘違いしがちな FM

みなさんは「FM」という文字を見て何を連想されるでしょうか? 
多分あまり飛ばず同じ周波数で長い間話をしていても誰にも迷惑がかからないと思いがちです。

しかし、ここからが肝心です。「FM」だけを見るとそうかもしれません。
一言で「FM」だからと言い切るには、かなり無理があるのではないでしょうか。
モードばかりに気を取られてばかりいると、後で大変な間違いを起こしかねません。

まず、自分の出る周波数と電波の飛び方を考えてみてください。
29MHzの場合、主に電離層反射・地表波(グランドウェーブ)ですので、
先に説明したように簡単に電離層反射で海外に飛んでいきます。

しかし地表波の場合ほとんど伸びません。
だから、長い間話をすると最悪の場合、海外の人に迷惑がかかります。
これは国際問題になりかねません。

それと大切な事が2つあります。

1つ目は、正しい日本語(話言葉)で話すことです。
何故か不思議ですが、144MHz/430MHzでは独特の話言葉があります。
(私はこれを「2m語」「430語」として、正しい日本語と区別したいくらいです。)

これを海外にいる正しい日本語を使っている人が聞くと変な感じを受けるでしょう。
皆さんが、いつも(無線以外の時に)使っている話言葉で差し支えないと思います。
国内の交信のときも同じです。逆にそのほうが気軽に話ができると思います。

2つ目は、呼出周波数です。現在29MHzでは29.60MHz(国際呼出周波数)があります。
これは、主に海外局を呼び出す所です。ここで、交信してもかまいませんが素早く終わらせましょう。

また、29.30MHzは国内の呼出周波数と思われがちですが、実はそうではありません。
この29MHz帯のFMには呼び出し周波数はありません。ただ慣習的に29.30MHzを使用しているだけです。
(慣習で呼出周波数的に使われているだけで、法的根拠はありません。)

CQを出すときは十分受信を行うとともに、自分の周波数と思わずに誰かに迷惑がかかると思ったときは
交信を中断するような気持ちで行いましょう。(通常の交信でも同様です。)



●電波の飛び方の違い

先ほどから何度も出てきていますが、電波の伝搬ルートは次のとおりです。
電離層反射・地表波・直接波・山岳回折・山岳反射などがあります。
(ここでは主に使われるものを挙げました。他にも無数にあります。)

29MHzの場合、電離層反射・地表波です。
では、144MHzの場合はどうでしょう。主に直接波・山岳回折があります。
430MHzでは、直接波・山岳反射があります。

ここで 地表波と直接波について考えてみましょう。

地表波は、主にHF帯で使用されています。
地表波と直接波の飛距離を比較すると地表波の方が先に減衰します。
このため近くの局(県内など)と交信するときは、144MHzや430MHzの方がよく飛びます。

Eスポ(スポラディックE層)が発生した時はどうなるでしょう。
144MHzで0エリアが入感しても、さはど驚かないと思います。
しかし、3・4・8エリアが入感するとただ事ではありません。
6エリア・沖縄などはもってのほかでしょう。

430MHzでは、ラジオダクトが発生した時を考えてみます。
このバンドも144MHzと同様のことが言えるでしょう。

それでは、29MHzの場合はどうでしょう。
通常、電離層反射波によって比較的簡単に交信できる所は、6エリア・沖縄・8エリアです。
少しコンディションが良いと4・5・7エリア、かなり良いと1・2・3エリアが入感します。
ただ事ではないのが9・0エリアの入感です。
もうこの状態になるとバンド内は空き周波数がなく皆さん必死です。

さて、ここまでの説明でわかったと思います。
29MHzと144MHz/430MHzでは、コンディションが良いときとそうでないときの入感地域がほぼ逆になります。



●垂直偏波と水平偏波

144MHzや430MHzでは、一般的に垂直偏波です。
しかし29MHzでは、GPアンテナ/ホイップアンテナなどの垂直偏波と、
ダイポールアンテナ/八木宇田アンテナなどの水平偏波が共存しています。

他には、垂直偏波と水平偏波の両方で使えるヘンアンテナ、
水平と垂直の切換式のP.D.Lアンテナなどがあります。

さて、偏波面が違うと地表波・直接波では少し離れただけで弱くなってしまいます。
最悪の場合、声が割れて聞こえることもあります。
しかし、電離層反射では絶えず偏波面が変化しているため、あまり気になりません。
特に、430MHzの遠距離通信の場合、ラジオダクトの使用頻度が高いため
本来ならば水平偏波の方が垂直偏波に比べて長い時間安定した交信ができるはずです。





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