ングラ・ライの独立戦争
歴史が作る
民衆心理
風土が作る
民衆心理
教育が作る
民衆心理
数々の戦い ププタン・マルガラナ
まえがき


インドネシア紙幣にまで、登場するングラライ中佐。

バリに来てみると分かるが、どこもかしこもングラライである。
空港も幹線道路の名前も、ングラライである。
大きな交差点、山の中のモニュメント、いたるところにングラライが立っている。
バリ島の英雄であり、インドネシア全域に知れる独立戦争の英雄でもあるングラライ。
そんなングラライを語ってみたい衝動に駆られている。
残留日本兵を調べている私にとって語らねばならない人物でもある。
が、書くに当っては、的を絞りたいと思っていた。
あれこれ迷ったあげくに、その的が絞れた。
戦争の緒戦、バリ軍がオランダ軍を襲ったデンパサール攻撃。
その時デンパサールに居た堀内秀雄主計大尉の言った次の言葉......

夜襲は成功と言うべきでしょう。
余程の綿密な作戦と統制がなければ夜襲は難しいですからね。
その夜のデンパサールは初めて聞く銃声で大騒動でしたよ。
翌日は市場も開かれて平常どおり、
もっとも権力には無関心を装おう昔からの生活習慣で、
外面は平静に見えても、
腹の中ではこみあげる嬉しさが渦を巻いていたと思いますよ。

この言葉の中の
「権力に無関心を装おう昔からの生活習慣」
に焦点をあてて書いてみようと決めたのである。

もしかしたら、
バリ人は独立戦争にも関心がなかったのではなかろうか。
そういう中、ングラライはどのように軍をまとめたのだろうか。
ングラライを取り巻くその頃のバリ人の心に迫れたら嬉しい。